2004年 7月号

 

 一、信用獲得への選択=正確な納期

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 夏物の販売も最終局面です。残念ながら昨年比大幅アップはなりませんでした。結果としては微増です。その原因は定番商品の不調です。定番商品の穴を埋めたのは明るい色の商品です。景気の回復基調を反映して、明るい色の商品、更に新商品が売れたのだと思います。リミットは売上金額が大幅に増えなくても、利益が増える形態ができています。利益が増える形態がなぜできたか?それは価格を維持し、値引きによる価格競争をしなかったからです。平成元年より価格は全てカタログ表示通りで、決められた数量値引き以外は一円たりとも値引きしません。価格の設定は社長の信念と言われています。私は値引きをしないことを強く指図しました。もし勝手に値引きしたら、解雇すると伝えていました。だからといって私は当初から理論的に考えていたのではありません。値引きしないことがどのように展開していくか確固たる展望は持ってはいませんでした。そのような状況の中、私の信念を潜在意識の中で支えてくれた事例をお話しします。  

 昔、新市町で一番のミシン販売店でのことです。その社長は職人で技術を持っていました。ミシンを買いに行くと値段を言うだけで買ってくれとは一切言いません。買うか買わないかお客が考えるだけです。売り込みの努力を一切しないで技術、サービスでお客さんに喜んでもらおうとする社長を私は大変信頼していました。信用とは何か。いつもこのことを思い出していました。価格は一度言ったら絶対に変えない。そしてお客様に喜んで頂くために何を提供するか、この選択が重要なのです。

 リミットは顧客満足のための選択肢の中で納期の正確性を選びました。納期の正確性を追求することは大変な道でした。叱られながら生産計画システムの向上に努力しました。このことがNEC東京本社でインターネットビジネスソフト最優秀賞を頂く結果になったと思います。そして日中情報システム㈱の設立へと進みました。

 

 二、購入意欲をかき立てる付加価値を創造

 

 価格決定は企業の業績を左右します。そしてその価格を決定するのは社長です。企業業績を決めているのは戦略やマーケティングの上にはじき出した商品の価格です。どういうプロセスを経ようとも、最終的には価格が全てです。

 売上が年々増えるなら安くしても赤字になりません。売上が増えないなら、価格を適正価格で売らなくては利益が出ません。それではなぜ多くの人はすぐに安売りを考えてしまうのでしょうか。商品やサービスに自信がないからです。高い価格では、安い価格よりも売りづらいのが一般的です。お客様は高ければ高い理由の何かの価値観の発見につとめます。リミットは納期の正確性で価値観を出し、販売店が安心して売れるように努力をしました。

 戦略なき安売りは事業の消滅につながります。小企業が生き残るには付加価値でお客様の高い満足度を獲得し、適正価格で買って頂く商品開発に努力する意外に道はありません。リミットは長年頭脳分野を充実し、企画開発に努力してきました。商品を適正価格で買って頂く努力もしました。その結果として、手形廃止そして無借金経営にする目標に向かって行動を起こすことができたのです。この秋より素材の値上げが始まります。安売り競争で価格の値上げができない会社から順に本格的に消滅が始まると思います。

 

 三、新しい頭脳集団、繊維情報企業へ

 

 今月号の『日経コンピュータ』の特集で次のように出ていました。

 

「『レガシーシステム』(オフコンで稼働後何年も経ち維持コストがかさんでいるシステム)という言葉には今、相異なる二つのニュアンスがある。ひとつは「安定した信頼できる」ものという肯定的な意味合い、もうひとつは「古い、乗り越えるべき」ものという否定的な意味合いだ。前者は従来から基幹系システムを稼働させてきた実績への評価と今も変わらぬ信頼を示し、後者はオープン系システムとの比較で主にコスト面と将来性への不安を表している。これはそのまま現在の情報システム部門のレガシーシステムに対するアンビバレント(相反する意見)な思いに対応している。」

 

 このように書いてありました。私はこれを読んで、なぜ簡単なことを難しく書いているか、愚者は簡単なことを難しく考える、困ったことだとまず思いました。このことをリミットの情報システム再構築でわかりやすく説明します。

 リミットが二十年作り続けたシステムで、今は使わないシステムが多くあります。そしてリミットのシステムはオフコン(基幹システム)でデータを作り、パソコン(オープン系システム)に接続して加工しています。その接続が迷路のようになっており複雑で整理するのが大変で、新しく作り直した方がよいと考えていました。大企業は今でも大型コンピュータを使用しています。従って大型コンピュータで動いているソフトが膨大にあります。そのソフトには情報会社しか解らないブラックボックスがありますのでソフト制作に他社と価格競争させることはできません。ソフトの作成、コンピュータの保守料等が高くつきます。しかし有利なことは、コンピュータは大変安定して動きますので業務が止まる心配がありません。パソコン(オープン系システム)は今では大型コンピュータと同じ程度の能力があるようになりました。そしてハード価格、ソフト制作、保守を全て安くできます。大きな問題点はシステムの稼働が不安定なことでした。

 ところが最近、パソコン安定性が極端に向上、基幹システムからオープン系パソコンに転換を考えている企業が増えてきました。問題点は膨大なソフトをオープン系にするにはソフトを全て作り直さなくてはなりません。莫大な経費を必要とします。しかしインターネットビジネス時代に対応するには、早く切り替えた方が勝つと思います。要は迅速な選択の意思決定です。先送りでは更なる行き詰まりをもたらします。

 リミットの選択は勿論次のようなものです。オープン系システムに再構築するために約六千万円を投入します。リミットでもこの規模です。大企業では百億円単位になると思います。リミットは今までのソフトを作った情報会社と日中情報システム㈱と中国景秀情報公司(リミットで勉強した総経理長男の会社)の三社がプロジェクトチームをつくり、今年の五月にスタートしました。来年の夏頃に完成させます。平成十七年度までの期間優遇税制五十パーセント償却を利用します。これが完成すれば、私の時代の情報システムから若い世代の情報システムに変わり、繊維と情報が合体した繊維情報会社になります。新しい時代に対応して迅速に行動を起こすことができるようになります。リミット㈱(女子軽作業衣料)・リミット通販㈱(高級婦人衣料)・日中情報システム㈱(日中共同でシステム作成)が連携し、若い世代の新しいリミット頭脳集団グループが誕生します。

 

 2004年7月25日

 

   笑顔着

     リミット株式会社

     代表取締役 有 木 伸 宏


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