2004年 6月号

 

 1、過去を捨てるのは、過去を知らない世代に

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 今年は景気が回復してきているためか、夏物は販売も出荷も順調です。また、定番より新商品の販売が目立つのが景気回復の反映ではと感じています。このように感じるのは久しぶりです。

 前回書きました「専務が5、6年で無借金経営にする」と言った件で、専務自身が政府系の金融機関からの借り入れを定期預金の全額解約で返済をお願いしたところ受けて頂きました。これだけで目標の1年度分を達成したことになります。政府系金融機関や銀行も昔は定期預金を要求しましたが、今は一生懸命頑張っていれば預金は要求しなくなったのでしょう。また、私が驚いたのは担当者と電話でこの件を片付けたことです。私の世代では、お願いを電話でしたことはありません。銀行に出向いてお願いをしていました。時代は変わり電話で話すことが合理的とお互いが考える時代になったのです。

 リミットの販売方法は新しい感覚で通信販売をしています。しかし資金関係で苦労したことが、かえって過去のやり方を踏襲させ、そこから脱却させません。専務はそうした苦労は白紙状態なので、新しい感覚で行動しています。この状況を見ると、適当なときに新しい世代に代わり、新しい感覚で新しい流れを作ることが大変大事なことと思います。特に今は生き残るため過去を捨てなさいと言われている時代です。過去を捨てるのは過去を知らない若い世代に任せることが1番簡単です。簡単なことを難しく考えて実行できない会社が多くあると思います。そのような会社が時代に取り残されていくのではないかと思います。

 

 2、売り上げ減、利益増を目指す時代が来ている

 

 ユニチカテキスタイルはユニチカより分社する前から取引先を募集して世界各地に視察旅行を企画し、行っています。今年はイタリア旅行を検討していると聞きました。イタリアは小企業の組み合わせでブランド商品を作っている国です。各企業が個性的特徴を持って他社のマネは絶対にしないと聞いています。日本の繊維は大量生産、大量販売で発展してきました。これからは逆に売上数量は8掛けになっても、売上金額は2割増になるような販売方式を目指さねばなりません。今日は、少量生産で大切に販売し利益を出し、消費者はいいものを長く大事に着る時代になったのです。売上数量は倍になっても売上金額は8掛けのような経営はもう終わりです。そのような時代を感じてのイタリア視察旅行でしょう。

 私は、その気になれば、人は誰でもいつからでも新しい道に踏み出すことができると信じています。私も次々と新しい企画を手がけてきました。そして社員が1人でも会社を作る分社制度をしてきました。絣の作業服から男子作業服そして女子の作業服へと進み、5年前から事務服の販売を目標に婦人衣料の研究を始めました。そして日中情報システム会社を設立し、軌道にのせる努力をしています。

 

 3、敗北は行動を中止することから

 

 京セラの稲盛さんは、企画が継続している限り失敗はない。中止したら失敗になると言われています。継続が成功の基と考え、努力しています。リミットは設立して35年になります。個人営業を入れれば45年になると思います。先日新市の配送センターで40年ぶりに知人に会いました。知人が「昔は貴方と同じように絣の作業服をしていたけれど、貴方は体も弱かったし資金も無かったのに、配送センターのショウウィンドゥに展示してあるような女子のユニフォームを作って販売している会社になっている。どのようにして勉強して来たのか。」と尋ねられ、返事に困りました。「40年の歴史の変化は色々なことが一杯有りすぎて一言ではしゃべれません。現在生き残っていることが不思議なほど単純な道ではありませんでした。あなたが言うように40年前と現在では大きく差があるが、その間何度も行き詰まっています。その時倒産していればどん底の生活をしているかも知れません。お互いの人生で結果の差はたまたまとか、運がよかったにつきるのではないでしょうか。私は運がよかったのです。多くの人が助けてくれたのです。」と心より答えました。知人は理解して納得したような顔ではありませんでした。

 備後の大手の会社も行動を起こされています。1社は福山駅前通りに本社を建築されます。そして1社は商社より社長候補そして人材を獲得されています。どちらもこれからの時代を考えての行動だと思います。どちらの会社も資産は抜群ですのでそれなりの結果を出されることと思います。

 それでは資金等で条件が整わない会社が行動を起こすことが不可能なのか?答えは行動を起こさなくては負ける、ということだけだと思います。私は本社を建てることができなければ、一流のところを借りればよいと考え、20年前福山の日本生命ビルが新築で竣工した時、福山に出るために入居を申し込みました。当時は上場会社の支店が入るのが常識のビルでしたので、大阪本社より調査役が調べに来ました。私は調査役にリミットは小さい企業ですが女子ユニフォームでは日本一(カタログに「日本一女子作業服」と赤い文字で入れていました)をめざしています。日本生命は保険業界で日本一なら、リミットも日本一になります。規模が違っても日本一は同じですと言ったら、その場で承諾が得られました。

 福山に出ることを中止していたら現在はありません。

 

 4、経営者の行動で運はうまれる

 

 本社を移転して、私は、頭脳分野の構築に20年努力しました。資金、組織はなくても、人より早く準備を始めればできないことはありません。そして今は100年企業をめざしています。結果を出すには人間の努力と知恵だけでは不可能です。運もあります。しかし運は経営者の行動によってのみ生まれます。

 リストラする経営者は悪い人か?リストラされている人が生存競争に負けたのです。自分の性格を生かし、他人と差別化した能力を作らなかった人です。会社に貢献できる力をつけていればリストラされることはありません。それを間違った情でリストラできない経営者からは運が逃げます。リミットは社員がよく辞める会社と言われました。私は辞めさせたのではなく、その人の能力が大事にされる会社に変わってもらったのです。私は不幸にしたのではなく、幸せにしたのです。

 私はパソコンで資料を作ることが時間を忘れるほど好きでした。しかし営業は1番嫌いでした。結果としてリミットは通信販売となり、情報会社となりました。各人が好きな仕事を分担して組織を作れば、考えることも楽しいし健康になり、結果として会社の業績がついてきます。

 専務は今後の人材の採用はこの業務ができる人と指定して採用すると言っています。私の時代は選別できませんでしたが、今は選べる時代です。リミットは最近「運」としか考えられないことで道が開けています。

 大変面白くなってきました。

 

 2004年6月25日

 

   笑顔着

     リミット株式会社

     代表取締役 有 木 伸 宏


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