2004年 4月号
1、100枚以下商品の再構築
いつも大変お世話になりありがとうございます。
前回は多品種少量生産の限界、その結果としてリミットの損害について書きました。年間売上100枚以下を廃番にする考え方が、お客様は神様だとする思想に反している否か、そのことばかりを考え続けました。
大きな損害が出る事態になった最大の原因は、皮肉なことにリミットの生産計画ソフトの優秀さにあります。1枚でも縫製し受注日即日出荷が自動的に80パーセントをこなしてしまいます。ソフトが平凡だと納期に大混乱を起こし、早く対策を考えたと思います。
『小金持ちは、大口顧客・大量注文で稼ぐ。大金持ちは、小口顧客・少量注文で稼ぐ。金運のある人は、小口のお客様・少量注文を大切にします。大口顧客・大量注文だけでは金運は逃げてしまいます。大口顧客・大量注文は「ラク」です。儲かっていないうちは、単価の安いお客様も大切にします。儲かり始めた時が危ないのです。金運を逃がすか掴むかは、中ぐらいの金持ちになった時が境目です。別の言い方をすると、小金持ちになると急に「そんな手間のかかることは、他に頼んでください」と断るようになります。そのサボり心が大量注文だけをやる方向に、どんどん流れてしまいます。そして金運を失うのです。』
と以上のようにある本に書いてあります。
多品種少量生産はリミットの原点です。リミットは多品種少量生産の基本方針は変更しません。お客様の立場とリミットの立場との接点(LIMIT)を追求したいのです。最近、疑問をもつと、最初の直感を裏付けるような雑誌などの記事が見つかります。問題意識をもっているからです。問題意識がないと見過ごして気がつかないと思います。
この度は現行の受注100枚以下の商品に関しては撤退して、あらためて企画から体制を整え、100枚以下でも利益が出る体制にできるか否か再挑戦を考えます。リミット総合研究所は私の時代では考えられなかった方向に進みました。末端ユーザーの意識をインターネットでつかみ、新しい企画が始まっています。研究所は私の時代は基礎作り、いよいよ若い世代で新しい形態で発展する時代に入りました。
2、対中国ドル建て支払いの意味
リミットは中国での加工賃をドルだてで支払っています。ドルと人民元は固定為替になっています。それでドル、円を総経理と話し合って120円に固定して加工賃を払っています。ドルを最初に買ったのは130円で、1年先の先物予約で買いました。その後ドル支払いを話し合った時、120円が続いていたので120円に固定しました。120円に固定しているので110円で買えば10円の利益になります。10万ドルで100万円加工賃が安くなります。中国に円を支払えばドルと円は変動なので、円高になれば中国の収入が増え、円安になれば収入が減ります。これでは中国側の収入が不安定になります。それでドル決済に変更して為替のリスクはリミットがもつことにしました。
3、損から学ぶ。為替投機と国債
今年3月に短期間で103円の円高、113円の円安と激しく動きました。専務は家族の預金を104円で外貨積立預金にし、私は109円で3年間の長期予約(但し支払額の半額、それ以上は危険を考えて扱ってくれません。残り半分は短期予約か現物で調整します)をしました。
なぜ専務より5円高く買ってしまったか。その心理に関してある本に次のように書いてありました。
『株の中には株価が何倍にも大化けするような銘柄はいくらでもある。もし、貴方が幸運にもそういう株を持っていたとしても、株価が何倍にもなるまでの長い過程には振るい落としもあるし、かなりの紆余曲折がある。その間、貴方は何事にも動じずにジッと我慢していられるであろうか。おそらく無理であろう。株式投資というのは、もともと常に決断を迫られるものでもある。皆さんにはっきり言っておきたい。「株式投資で絶対儲かるなんていうことは普通の人には絶対に無理だ」ということを知っていなければいけない。』
株も為替も同じ心理だと思います。私が先物予約を130円で契約したのは、国家財政破綻、ハイパーインフレ等盛んに言われていた時でした。それで1年の先物を買いました。1年後私の思いと反対に120円になっていました。その当時日本の財政状況も悪いが、それ以上に米国も悪い。どちらが早く破綻するかが問題と出ていました。
今年になって日本の財政赤字を日本の国民から借りている金で埋めている。米国は外国から借りている金だ。どちらが強いか、と関係図書に出てくるようになりました。
政府は国民から借金しても日本人は貯金を引き出さないから安定している。米国は日本が米国国債を売ったら財政破綻を起こすと出ていました。この度の円高でも大手の企業は史上始空前の利益と言われています。この2月には対中国貿易は赤字から黒字に転換と出ていました。日本は財政破綻しないと思うようになりました。それで最近は100円、90円の円高が来ると思い、待っていました。結果を見ると私は100円を待っていたのに109円で買っています。
専務は104円で家族の外貨積立預金をしました。何故5円高く買ったか?私は113円から円高に反転したとき、慌てて朝一番に買いました。その日の午後から一段と円高になりました。専務は慌てず待って買いました。
リミットでは、為替は投機ではなく支払いを損しないための為替ですので、ドルを期日に引き取ります。昔から投機で金を残した人はいません。本業が大切です。利益より損をしない努力をしょうと思っていました。振り返ってみると何も勉強せず、その時の為替でドルを買って送金した方が、132円から103円まで円高が続いたので利益が出ています。しかし、こういうときには世界の経済の流れは勉強できません。130円で買い、損をしたから勉強したのです。簡単に利益が出たら必ずそれ以上大きな損害を受ける時が来ます。
一所懸命勉強しても、現時点の収支は赤字です。今年の年末で収支がトントンになります。しかし3年前為替について何も知らなかった私が勉強して、専務に指図して行動させました。教えた私が最後は運で負けました。専務はクジ運が強く、よく景品をもらいます。成功は運が7割、努力が3割と本に出ています。多くの成功者がたまたまとか、運がよかったといって自分の力を強調していません。私の3年間の為替利益はゼロです。残ったのは無形の財産としての為替の知識が残りました。
2004年4月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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