2004年 2月号

 

 1、赤字解消、より大きな夢へ

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。 2月の売上は順調に推移しており、今年は業績見通しに明るさを感じております。リミット㈱、リミット通販㈱、日中情報システム㈱にとって、今年は前進の年だと思っています。

 リミット通販と日中情報システムは共に5年連続赤字でした。それは未来のための投資によるもので、今、その投資の実りを収穫し、赤字を解消するときが来ました。昔から絶えず先行赤字投資を、と言われますが、まさにそのとおりです。しかし、この度のように景気が減速していく中、赤字覚悟で投資を続けることは大変恐怖感が起きました。問題点の後始末をしながら投資をして、スタートラインに立つために7、8年はかかります。結果だけをとらえると、その局面では簡単なことが解らず、多くの禍根を残します。それを恐れていては行動を起こせないのです。京セラ会長の稲盛さんは、京セラは研究開発で失敗したことがないと言われるが、「そんな馬鹿なことはない、成功率は大変小さい」と質問した人におっしゃられたそうです。「事業は継続している間は失敗ではない。事業を中止したら失敗が確定する」と言われていたことを読んだことがあります。私は継続がいかに大切かを知りました。

 リミット通販の商品は、リミットの社員も中国工場にも製品作りの知識を誰ももたない状態からのスタートでした。現在は、技術を習得しつつ販売金額も少しずつ増えています。日中情報システムも中国工場の中に情報系の大学を出た1人と大学に行ける能力を持っていて、経済的な問題で大学に行けない人を集めてスタートしました。そして総経理の長男は日本で5年間、日本語を学びつつ情報会社でシステムエンジニアとして勉強しました。それが現在ではNECの協力会社を中国で経営しています。無から行動を起こすことは誰も賛成してくれません。それでも経営者は行動を起こす決断をしなくてはなりません。経営者は孤独です。その孤独に勝たなくてはストレスで体をこわします。それを楽しむような精神状態にするには、絶えず自己啓発で成功の夢を描くことです。小さな夢は小さな結果を、大きな夢は大きな結果を生みます。全ての結果は自分の夢の大きさで決まります。年齢と共にこの楽しみが解るようになりました。このことが早くから解っていれば、リミットグループは今より大きく育っていたかもしれません。

 

 2、CTIへの投資、その意味は

 

 お得意先より登録されている電話が入ってきたとき、画面に得意先名と関連するデータが出てきて素早く対応できるCTI装置が稼働しています。リミットは今まで注文は電話では受け付けないことを原則にして来ました。この意味では、電話での対応に投資することはリミットの方針に逆行していると思いもします。前月のリミット通信に書きましたように、リミットの情報システムを再構築するためにシステムの検証が始まっています。その報告では70%のソフトが現在では必要ないと言われています。リミットの情報システムは25年の歴史の中で、新しいシステムを作り続け変化させ続けた結果、70%のシステムが不必要になっているのです。情報会社の話では、5年経過した時点で従来のシステムで問題はない、と言われる会社は発展していないことを証明するに等しいそうです。不必要になっているソフトも全部費用を払っていますが、その証明料とでも考えておきましょう。

 変化させることは投資が必要です。次々とシステムを発注し、資金を使い続けました。その結果、NEC東京本社によってインターネットビジネスソフト分野で最優秀に選ばれたのです。現在のシステムは迷路のように複雑になります。1ヶ所削除するとどこに影響するか調べる手間が大変ですので、全て新しくシステムを作ります。電話での対応も将来、情報提供はほとんどインターネットで提供するようになると思います。その過程の中で、情報伝達ツールとして電話をシステムに加え、今まで以上のサービス提供ができれば、と思いCTIを導入いたしたのです。

リミットブランドを浸透させるため、これからは幅広い情報を相互に交換しながらより良い製品作りに役立てようと思っております。CTIを利用して、お客様からのお問い合わせにかかる時間を短縮して提供できるようになりました。将来は時代の変化で必要なくなることが解っていての投資です。問屋無用論とか頭脳の時代とか言われても結果が出たのは20年かかっています。

 

 3、変化する中国労働力市場

 

 青島工場の総経理が肝臓の検査のために来日しました。総経理は中国で肝臓検査のため青島大学付属病院に1週間入院し、CT検査をしたりして検査を受けていました。結果は先生により色々な意見があり、正確に結論が出ませんでした。それで写真を日本に持って帰り、専門の先生に見て貰いました。しかし血液検査の結果がわかりませんので来日して検査を受けることになりました。検査はCT検査、超音波全てが2時間で終わり正常の結果が出て大変喜んでいました。

 今総経理は新工場建築で毎日現場に行っています。中国の場合監督していないと手抜き工事してしまうので任せておくことができないと言っていました。董司会の途中で中国に何度も電話をしていました。その話の内容は、工場敷地整地のため田舎より30人労働者を連れて帰り、その宿泊場所の交渉でした。役所に場所を借りるための交渉が不調でした。しかし、総経理の直接の電話で解決しました。総経理の話では、中国では全てお願いは否認から始まりすぐに許可になりません。中国流の方法でしか解決しません。中国人だから方法が解るのだと思います。

 総経理になぜ地元から労働者を雇わないかと聞いたところ、そんな仕事をする人は青島にはいないと言っていました。海岸部と内陸部との貧富の激しさがこのようなところに出ているのだと思いました。そして縫製の仕事をする人の募集が大変難しくなったと言っています。この度の正月には奥地から来ている縫製工員を借切りバスで送り、また迎えに行ったと聞きました。迎えに行かないと他社に行ってしまうのです。日本の縫製業界が歩んだ道と同じ道を歩んでおります。私も奥地へ奥地へと進み日本海まで行き、それも駄目になり中国まで行きました。逃げることが続けば世界のどこまで逃げればよいのでしょうか。これ以上逃げることを考えず、中国工場は冷暖房にして環境を調え、賃金も他社より少しだけ上にする。そのために商品も加工賃が貰える企画商品を作り納期を正確にする方針を出しています。

 時代が変わり、日本での縫製に高校卒の若い人を採用できる時代が来ました。今年4月よりリミットは高卒を少人数採用し、日本生命ビルの企画室に縫製部門を作り、可能性の模索を開始します。足踏みミシンの洋服屋から大量生産時代で商品が溢れる過剰生産時代となりました。1点1点大事に物作りをする原点に帰り、方針を考え直す時が来たのではないかと思います。

 

 2004年2月25日

 

   笑顔着

     リミット株式会社

     代表取締役 有 木 伸 宏




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