2003年 11月号
1、ブランドの構築は経営哲学の表現
いつも大変お世話になりありがとうございます。
今年は10パーセント程度の売上増で大変安定した経営となっています。そして合理化の結果として、利益も確保ができるようになりました。いわば嵐の後の静けさという状態です。しかしここでの安心は禁物、安心は後退のはじまりです。では次に何をすべきか。経営者は方針を出して行動を起こさなくてはなりません。無風は社員の意識に沈滞状況を起こします。何かを変化させて嵐を起こさなくてはなりません。
度々書いていますが、私はブランド構築に努力しています。ブランド構築に重要なことは多々ありますが、そのうちの1つが価格設定とその維持です。この価格維持は大変難しく、価格維持の根拠をユーザーに提供し理解納得を得なければなりません。価格は社長である私の信念であり経営哲学の表現です。
2、必然としての分社~統合の変化
さてその私の経営哲学の展開を振り返ってみると、個人経営から会社、分社経営そして同族経営方式へと変化させてきました。分社経営で各部門を会社にすれば損益がよくわかります。これで財務が全て解るようにし、採算を徹底的に追求しました。借入金も各社でして資金効率も解るようにしました。その結果各社の流れが大変よくわかるようになりました。どの部門に無駄過剰な投資が多いかがよくわかり効果のあるリストラが実行できました。
私はグループの合計試算表を作り見ていました。しかし金融機関からその試算表の見方が難しいといわれるようになり、各社をリミットに一本化した方がよいのではないかと思うようになりました。最初に各社の資金をリミットに一本化し、リミットが資金を貸せる形態にしました。次に支払手形をリミットに一本化し、その後手形を廃止して現金支払いにいたしました。今年来年で3社を清算しリミットに統合する準備を進めています。分社してまた統合するなら分社しなければよかったとの考えも起きます。しかし私は分社したから問題点が明確にわかり、行動を起こすことができたと思います。分社していなければ少ない社員で大きな仕事は実現していないと思います。
具体的に説明すると、リミットの品番、色サイズによって約1万点で中国生産90パーセントを生産計画1人。輸出入業務全般を10時から4時までのパート1人。中国の駐在社員はおらずファックス、インターネット通信で連絡して電話は殆ど使いません。原反出荷から船積み、中国工場での生産に対して必要な時に必要な商品を提供するため、生産計画が正確に流れているのです。これによって注文日即出荷80パーセントが実現しています。私と役員が中国に行くのは年2回、2泊3日で行き1日総経理と話し合って、夜総経理家族全員と食事をするだけです。生産について情報は全て共有しているので話すことはありません。このようなことができるのは情報システムと人との極限(LIMIT)を25年間追求してきた結果です。
こうした一連の流れと変化は歴史の必然であったのです。
3、中国生産と為替、そのリスク回避
リミットは長年中国への支払いは円決済でしていました。それで為替レートの問題には関心がありませんでした。為替リスクは中国側がもっていました。これは日中友好商社経由で生産していた当時からこのようになっていました。最近国家破産とか人民元の切り上げ、猛烈な円安、インフレの言葉が出てきます。為替が大きな問題となってきました。私の哲学では関係先と良好な関係を築くには、悪材料は全てリミットが負ってお互いが利になるようにする。この考えから為替問題の勉強を始めました。それでインフレになるならドルを買えばよいと思い、ドルを買うことにしました。しかし先物取引も知らずどのようにすればよいのか解りません。銀行に聞きながらこれから円安になると思って1昨年初めに1年先の先物予約130円で買いました。それが最安でした。それから円高が始まりました。昨年始め先物予約の引取時に120円になっていましたので先物予約をして損をしました。なぜ損をしたか、為替に関心を持って勉強を始めました。その後120円中心で小幅に動く事が続きました。少し円高になるとドル買いの政府介入があります。米国と日本で120円レートの密約があると情報誌に出ていました。それで120円レートの計算なら中国工場も採算がよいと聞きましたので、今年初めに来年の年末まで120円レートで固定することに決めました。工賃は円計算でして支払いは120円レートのドルです。為替リスクはリミットがもつことに決めました。中国はドルに対して為替レートは固定しているので収入は安定しています。今の円高も人民元が切り上げれば相殺されます。先物予約で最初は損をしましたけれどそのために為替問題を勉強するようになり、今では大変面白くなっています。私は信念として相場には手を出しません。先物予約も全て引取です。為替を勉強すると世界の動きを勉強ができます。今では最初の失敗は授業料だと思っています。何も知らないのに行動を起こしたから勉強できたのです。
4、為替の先行き、2つの見方
為替に対して2人の評論家の真反対の予測を書きます。
●2003年末までは円高(105円)、株高(12,000円以上)。2004年初は急激な円高(100-95円)、一時株安(11,500円前後)だが月内に回復(12,000円以上)し、4月から若干の円安(110-115円)で、急激な株高(15,000円以上)になる。7月から年末にかけては若干円安(120円前後)、持続的株高でニッケイ2万円突破、3万円を目指す。2004年は超円高大好況。ドルが円に救われる時、世界の資金が日本に集まる。米国が大中東戦争などレールをはずさなければ私の予想は当たるだろう。
●2006年ないし2007年には、日本国の財政状況はコントロール不能になる可能性が高い。日本の中枢部分に巨大地震がやってくれば、日本国の財政破綻は一気に早まるだろう。だから預金封鎖、ハイパーインフレを考え、できればこの1、2年の間に皆さんの国家破産対策を万全なものにして欲しい。すでに手を打っている人は問題ないのだが、かなり急いで行なう必要がある。残された時間はそれほど多くない。それを肝に銘じ、なるべく早く決断し実行すべきだ。資産の一部を外貨建てにする際も多少の円高や円安は気にせず、思い切った手を打っていく。そういう決断力や行動力が生き残りのための最大のポイントといってよい。
2003年11月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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