2003年 8月号
1、日中の経営哲学の共有が要
いつも大変お世話になりありがとうございます。
最近の売上げ状況は、昨年比売上げ微増が毎月続いています。いよいよ底を固めたのではないかと思います。しかし今後大きく売上げが伸びていくことは考えられません。今の売上げで利益を出すには、この売上げで利益を出せる経費で経営することです。これは誰でもわかる事です。リミットは皆様が想像できないような少人数で大きな仕事をしています。それで利益を出せる態勢になっています。このような状況の中では生産は中国生産を抜きにしては考えられません。日本の態勢をいくら整えても、中国工場が品質納期管理で協力をしてくれなくては、信用をかちとることはできません。ユニフォーム業界は商社に商品企画まで依存して生産していると聞きます。競争が一段と激しくなり、大手商社が自社ブランドユニフォームを直接販売する比率を増やしてくると、従来のユニフォームメーカーは存在価値を失います。これをよく理解して生き残る道を考え、行動を起こさなくてはなりません。
リミットは多品種少量生産、企画重視、納期の正確性が、絶対に生き残ることができる戦略だと思っています。しかし大きな問題点もあります。リミットが100%管理できる工場は、日本にある少量生産の工場のみです。中国工場はリミットの独資資本ですが、中国側の100%の協力が無くては信用獲得の戦略は実現できません。高品質を確保するためには、日本と中国双方で戦略の意識統一がなければなりません。中国と意識統一して協力関係が維持できるかどうかがリミットの発展する条件となるのです。
工場の総経理と経営哲学の共有が大切な事になります。
2、戦略・戦術と人材の育成
先日「戦略・戦術」について次のように書いてありました。
「成功を収めていくためには、『戦略・戦術』というものが大事です。戦略というのは一般的にかなり掴みなものの考え方であり、戦術というのは小さな考え方です。また『戦略は目に見えないものであるが、戦術は目に見えるものである』とよく言われます。戦略というのは大きな構想などのことであり、戦術というのは具体的に、『これをどうする、こうする』という次元の問題なのです。そうした戦略と戦術というものがあります。才能が豊富であっても失敗していく人を見ると、この戦略と戦術のところを取り違えている人が多いのです。戦術を優先して、戦略のほうを捨ててしまう人です。目先の技術的なことや小さな戦いのほうに目を奪われて、大局的な勝利を忘れていくわけです。これは神経質なタイプの人で、目先のことに没頭して、大局的なことを忘れやすいのです。」
私はこの記事を読み深く反省しました。私は特徴がある会社を作る努力をしました。その点では結果は出たとおもいますが、会社は他社に追いつくことはできませんでした。私は神経質で目先の技術的なことや小さい事の方に目を奪われていくタイプです。そのことに最近気づきました。その証拠に20年間コンピュータに専念してきました。そしてある程度は結果を出しました。しかし他の部門の結果は出せませんでした。一つのことに専念して他のことを忘れていたのです。それで若い世代には戦略と戦術のバランスを教えなくてはならないと思っています。
また、京セラの稲盛さんは次のように書かれています。
「朝の洗面時だけでなく、宴席帰りの夜などにも、自宅やホテルの部屋に戻り寝ようとするときに、思わず「神様、ごめん」という「反省」の言葉が自分の口から飛び出してきます。「ごめん」とは、自分の態度を謝罪したいという素直な気持ちとともに、至らない自分の許しを創造主にお願いしたいという、私の思いを表しています。大きな声でそう云うものですから、人が聞いたら気がふれたと思われるかもしれません。しかし、一人になったときに、思わず口をついて出てくるこの言葉が、自分自身の「良心」が、利己的な自分を責め立てているのだと理解しています。」
私はこの文章を読んで驚きました。私も同じような事をしていました。私の場合は便所で馬鹿と言って壁を叩くのです。稲盛さんは結核を経験され、私も結核に罹りました。結核になる人は神経質な人といわれています。この時代は細かいことに神経を使いながら、大きな視野で物事を見る図太い神経が必要です。神経質な人は自己催眠で二重人格者にならなくてはなりません。稲盛さんは自己催眠を実行されています。私も自己催眠をしながら図太くなる努力をしました。
同じように努力しても稲盛さんは1兆円から3兆円の売上会社を2つもっておられます。私は小さい会社1つです。何でこんなに大きく差が出たか反省してみました。私は方針を考え、それを実現してくれる人材がいないと思い、全て私自信が行動をしていたことです。自分がすれば自分がしただけしか結果は出ません。人に教えて任せる努力をしていたら、もう少しは前進していたのではないかと思います。
3、自社の特徴を確立する
ユニフォーム業界の売上高競争は、そのまま価格競争になります。直販に参入した商社と競争すれば、大量生産の商品では従来のメーカーに勝ち目はありません。この次の段階では中国素材を使った中国製品が価格競争に参入してきます。これを前提にして、リミットは素材メーカーや商社にできない多品種少量生産で商品を大切に売り、利益重視の方向に進みます。高品位納期厳守、大切に販売をしたいと思います。
商品を大切に販売するために、見本の貸出期間は1ヶ月厳守(見本の貸出期間がルーズなのは、精魂傾けて縫製した商品を商品として考えていないのです。)として、これを理解して頂ける販売店とより緊密に連携するため、理解していただけない販売店を縮小する方針です。8月に入り50社との取引を中止し、来年1月に更に縮小をいたします。
一般衣料の通信販売では股下寸法を指定どおり直して送るようになっています。通信販売またはインターネット販売で買った人の満足度は大変高くなっています。人間国宝の陶器等は百貨店の外商が通信販売に負けています。時代は変わってきました。販売店も自社の特徴は何か。通信販売ではできない特徴を見いだし、その特徴をユーザーに理解して頂く努力をしなくてはならないと思います。時代に対応した策を考え、早く行動を起こさなくては間に合いません。自社のイメージ作りは短期間ではできません。
2003年8月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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