2003年 7月号
1、理論的に実証された女性主体の優位性
いつも大変お世話になりありがとうございます。
先月はリミットの特徴である企画、生産を分析しました。今回は組織作りを見ておきます。
リミットの組織づくりは、女性主体であることが特徴です。これまで企業は男性社会でした。私は長年の病気のためスタートが大変遅れました。遅れて社会に出て、世の中の変化を実感しました。特に繊維業界は女性の分野であると感じ、素直に女性主体の会社にすることにしたのです。とは言っても、縫製業には優秀な人材は来てくれませんでした。それでも長年徐々にレベルを上げる努力をしました。その努力と同時に、誰でもどんな仕事もできるようコンピュータシステムを構築しました。
私は女性を雇用してみて、女性の緻密なことが多品種少量生産に大変向いていることが解りました。生産計画や販売予測は予測通りの数字になるかどうか不確定要素がありますが、緻密に数字を組み立てれば年間の生産計画はできます。緻密さと根気が必要なだけに女性が適任です。根気がない男性では手抜きした組み立てになり生産過剰に陥ります。リミットの納期の正確さは女性の緻密さと根気の結果です。販売予測以外は女性の特徴を生かした結果が、納期の正確さを実現できました。
最近下記のようなデータが新聞に出ていました。
『女性社員比率と利益率は相関関係』 経産省研究会
経産省の「企業活動基本調査」の約26,000社のデータと、女性総合職の採用が多い企業や、女性の平均勤続年数の長い企業などへのヒアリングで報告書をまとめた。女性比率と利益率の関係を単純に分析すると、女性比率が30~40%の企業は、20~30%の企業より利益率が約0.4ポイント高いなど女性比率が高まるにつれて利益率も高くなり、50%を超えると横ばいか微減の傾向があった。さらに、業種や企業規模などの要素を加えると「10ポイントアップで0.2%上昇」という結果が出た。「サンプル企業の平均利益率が2.8%であることを考慮すると、0.2%の差は無視できない」と分析している。
ただ、それぞれの企業で、年ごとの女性比率と利益率の変化を調査すると、女性比率が上がっていっても利益率は必ずしも連動していなかった。
このため、再雇用制度があって、男女の勤続年数の格差が小さいなど人事・労務管理上の取り組みや、性別に関係なく能力・成果を重視する社風が重要と指摘したうえで、「女性が活躍できる社風がないのに女性社員を増やしても利益率は上げられない」と結論付けている。
私は理論的な裏付けがあって女性重視の組織を作ったのではありません。ただ直感で感じたことを行動に移しただけです。20年を経過し、これが理論的に裏付けられたことを大変うれしく思います。この記事を今読んで行動を起こしても結果を出すには20年がかかります。時代の流れに感じたことを素直にただちに行動を起こすことが大切と痛感します。
2、苦しみ身の経験が行動を生む
一昨年の9月私は、ピーク時より売上が半滅しても生き残れる体制確立をめざし行動を起こしました。時代を直感したのです。昨年5月には最後の生き残り対策を実行しました。その結果今年は黒字の見通しがつき精神的にも安定しています。なぜ売上半滅を予測して猛烈な行動を起こしたかを自分自身で分析しました。大きな原因は、今までの私とリミットの歴史の中で何回も危険状態になり大変苦しんだことです。その苦しみを再び味わいたくないとの思いが猛烈な行動を起こさせたと思います。若い世代が行動を起こせないのはその経験がないからです。艱難辛苦の経験のない者はそれがどいうものかが解らないのです。
その事に対して幸福の科学の大川総裁が大変解りやすい言葉で説明されている本を読みました。
『近年3万人を越える自殺者が出ています。交通事故の死者の3倍です。会社をいかに上手に閉めるか。上手に閉めることができた人は、自殺せずに済みます。ところが、閉めそこなった人は自殺したり、一家心中になったりすることがあるのです。撤退戦というものがあることを知らなければいけません。撤退して被害を食い止めれば、もう一度、戦力を立て直すことができるのです。ところが、それをしないと、全滅してしまうことがあります。あの織田信長でさえ、「負けだ」と思ったときには、命からがら一騎で逃げています。仲間と思っていた浅井氏が敵に寝返り、自分の軍が朝倉軍と浅井軍に挟み撃ちにされたときに、信長は、「予期せぬ挟み撃ちに遭ったら、命が幾つあっても足りない」ということで、身一つで京都へ逃げ帰っています。もし、「自分は日本一強い」といったメンツを護ろうとしたならば、戦わなければいけなかったでしょうが、信長は「勝ち目なし」と悟ったら、即、逃げ帰っています。会社の経営でも同じです。勝てるときもありますが、負け戦のときもやはりあります。負け戦のときに、いかにうまく立て直しをするかということが大事なのです。「長く勤めた社員に申し訳ない」ということで、会社の存続を図ろうとして、借金に借金を重ねて生き延びようとする人がいます。しかし、社員の8割が生き延びる方法はあるのではないか。という考え方もあるはずです。閉めるべき部門や、切るべき商品、もあるでしょう。全員が生き延びることを考えて、かえって、つぶれてしまうこともあるのです。負け戦に入っていき、生きてこその人生であり、立て直しもできるのです。自殺したりするぐらいならば、その前にやるべきことがあるのではないでしょうか。』
以上のように書いておられます。
私は幸福の科学の会員ではありません。大川総裁は誰でも理解できるように解りやすい言葉を選んで書いておられるのが好きで読んでいます。私は5割の社員を助けることを考え、行動を起こしました。この本を読んで精神的に大変楽になりました。創業者がこのような本を読む時はもう行動が終り自らを省みています。若い世代はこのような本を読んでも行動を起こす人が少ないのです。この度の不況で若い世代も大きな経験ができています。将来必ずこの経験を生かすときが来ると思います。しかし今倒産すればこの経験を生かすことなどできません。
私には何度も倒産の危機が訪れました。そしていつも助けられました。助けられる人と捨てられる人との運命の差は何で起きるか。自分の力ではなく家系の累代が積んだ徳の差だと私は思います。
2003年7月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
コメント
コメントを投稿