2003年 6月号

 

 1、自己分析から特徴活かす

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 6月の売上は急に落ちた感じですが、現状では横ばいと思います。横ばいなら赤字にならない体制なのでひと安心です。この体制で今後利益の一段の向上を目指すには何をすべきか。リミットの現在の状況を検証することにしました。現在のような不況時には扱い商品の範囲を広げるのではなく、会社によって必ず強い分野があるはずで、その分野を強化してゆくことが一番良い方法と言われています。それでリミットの特徴を明確に認識してリミットを分析してみました。それによると

 

  1、女子ユニフォームの企画メーカーで、特に動く分野のユニフォームに強いメーカーである。

 

  2、中国生産が95パーセントの中で納期が正確である。

 

以上の2点がリミットの大きな特徴だと思います。

 

 この2点を検証して今後の方針と対策を考えてみました。

企画:これは私が一番努力した部門です。備後は男子作業服で発展してきました。男子作業服の分野では企画は重要ではありません。規模と営業力がビジネスの成否を決めていました。この環境の中で多品種少量生産、そしてオリジナル商品を出し続けるという新しい経験を重ねるためには、何より組織作りが大変でした。人材の養成には大変な資金を使いましたが、養成しても結婚等で全部退職しました。幸いなことに企画室長が一人残り、多くの経験を積みました。会社を継続するにはその中心になる人を長年かかって育てなくてはなりません。問題はその後です。次の世代に引き継ぐには、企画を継ぐ人を育てることも考えなくてはなりません。室長の後を引き継ぐ人材です。会社は、社長一人で継続できません。優秀な企画部門の協力者が必要です。協力者の獲得には運もあります。その運をどのようにして獲得するかを考えながら、早くから行動を起こさなくてはなりません。備後地区の婦人服メーカーで企画を担当していた社長の奥さんが突然亡くなられ、そのために会社整理をした例もあるのです。

 私が思うには、繊維は女性の分野で、女性の協力なくして成り立ちません。リミットの10年先は、企画の後継者が一番大きな問題点です。10年先の企画室を考え、今行動を起こしています。

 

 納期の正確さ:現在の納期の正確さは、25年間の苦労の結果です。この道は簡単な道ではありませんでした。コンピュータシステムだけではできません。生産計画の人材も大切です。そして中国生産工場の総経理の生産管理能力も大切です。全ての分野が100パーセント正確に行動をしなくては実現できません。現状の納期の正確さは誰が欠けても実現不可能になります。

 リミットの歴史を顧みると、最初に努力したのは在庫の正確な把握です。在庫は合わないのが常識、と言われている中でリアルタイムでの在庫把握に20年間努力しました。

 

 2、国際化時代、商人の大道を行く

 

 次は生産です。日本での縫製は困難となり、中国に移転しました。パートナーを見つけるために上海から北京、大連、天津と回り、最後に青島に私自身が運命をかけて探し求めて回りました。そしてパートナーを決め、設立を青島に決めて会社設立をしました。この備後地区に中国で成功されトップクラスになられた会社があります。その会社の社長は若いときから中国に行かれています。私は社長が自分で道を開かれたのだと思っていました。しかし実は、社長と会長が中国のパートナーが大変良くて、その人のおかげだと言われている、ということを取引銀行の支店長から聞きました。中国生産で成功するにはパートナーの選択が一番大切だと確信しました。

 現在中国工場は多品種少量生産の困難な生産で100パーセント納期を守って生産をしています。民族が違い育った環境文化が違うので考え方も大きく違います。それをお互いに理解し合えるには大変な努力が必要です。この努力が納期厳守を実現させるのです。これからは日本だけが猛烈に頑張っても、中国の協力が無くては成り立ちません。リミットのような小規模の会社でも国際的協調時代に対処しなくては生き残れなくなりました。運命を共有した関係で行動しなくてはならないと思っています。

 このように状況分析して、方針を決めても、行動を起こさなくては結果が出ません。イトーヨーカ堂の創業者は次のように言っておられます。

「農民は連帯感に生きる。商人は孤独を生き甲斐にしなければならぬ。我が歩む処そのものが道である。他人の道は、自分の道ではないと云う事が商人の道である。」読み人知らずの「商人の道」を私は座右の銘にして生きてきた。「孤独を恐れず、我が道を行け」と言われています。

 これからは会社も個人も、国際的協力者との連帯の時代だと言われている評論家の藤原直哉さんは次のように言われています。

 「バブル崩壊から12年が経過してようやく日本も旧い時代が終わり、新しい時代が始まろうとしています。しかし実際には新しい時代の切り開き方は人によってすべて違います。ご自身で行く末をよく考えて下さい。ご自身でご自身の進む道を見つけてください。いままでの時代のように、こうすれば助かるとか、こうすれば展望が開けるとか、誰についていけば成功するといったような安直な答えがないのが今の時代の特徴です。そこを本当によくご理解いただいて、元気よく新しい時代の立て直しに向けてご自身の努力を積み重ねてください。世の中というのは毎日毎日の生活を見ていると何も変化がないように見えながら、少し長い目でみると変わってしまっているものです。人は過去を振り返って、過去をやり直すことはできません。一方、未来を展望し、未来をつくることはできますが、その具体的な一歩は、現在何をするかで決まります。未来をどんなに夢見ても、いま何も新しいことをしなければ、いま変化を起さなければ、永久に考えた未来はやってきません。大きな困難が突然目の前に降ってきて、それから慌てても大変です。未来のことをよく考え、今日の一日を真剣に生きてください。今日何か変えないと、もう手遅れになってしまうようなことがたくさんある時代です」と。

 私も小さいことでも何かを変えろといつも言っています。しかし案は出ますが結果はなかなか出ません。

 今日を大事にして生きてゆかなくてはと反省しています。

 

 2003年6月25日

 

   笑顔着

     リミット株式会社

     代表取締役 有 木 伸 宏

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