2003年 5月号
1、手形廃止、有利な長期借入金活用
いつも大変お世話になりありがとうございます。
5月の販売状況は順調に推移しています。現状を維持すると20パーセントの売上増になるのではないかと思います。このような予測をしていませんでしたので、商品の空輸など対策に追われています。この増加は近畿地方と九州の売上に依拠していますが、その理由は今のところわかりません。とにかく大変喜んでいます。
前回のリミット通信ではリミットのリストラについて書きました。大幅に社員が少なくなり、少数精鋭で大きな仕事ができています。以前は繁忙期には派遣社員を入れていました。今は役員が配送センターに入り対処しています。毎月リミット通信を送っていますので金融機関には会社の状況も理解していただき、資金面も充分協力していただいています。昨年7月に支払手形残がゼロになり、中国に送る素材調達も現金決済で回転しています。大変厳しい経済情勢のもとでは資金不足で苦労するのではないかと思いましたが、貸越口座、特定貸越口座を2行で1億5,000万円設定していただき、閑散期に資金不足が発生すればそれを利用し口座がマイナスとなり、繁忙期には現金入金で埋まってゆきます。売掛金の90パーセントを現金で頂いているので、銀行からは手形割引を利用してくれと言われますが、手形は少なく取立てしています。このような資金状況になるのは、リミットに内部留保が充分あってできているのではなく、長期借入金と貸越口座で回転しているからです。同じ負債でも手形より長期借入金の方が安心なのです。
リミットはユニフォーム業界では最も後発に属します。他社では利益を出し納税後、残りを内部留保にされ繁昌していたころ、私は病気で長年寝ていました。それで資金を残すときがありませんでした。銀行には借り入れお願いの連続でした。借り入れをするには財務状況を提出しなくてはなりません。財務の知識もなく大変苦労しました。それで一所懸命に会社の状況が全てわかるようコンピュータシステムを作りました。現在ではどんな資料でもプリントする時間だけで提出できます。
1昨年9月に大不況の到来に危機感をもって、1年間の販売生産資金計画を作りました。そして昨年の10月には計画通りに30パーセント在庫を落として資金が楽になりました。この結果が金融機関の信頼を獲得したと思っています。借入金は多くても、金融機関の信頼を得れば資金は必要なだけ出していただけます。出していただけないのは、計画と結果とが違うからだと思います。自分が努力せず、銀行が貸してくれないと言うのは間違いです。銀行は資金を貸して稼ぎたくてたまらないのです。しかし不安で貸せないのです。この不安を取り除く努力をすれば、リミットのように借入金を増やして手形廃止することができるのです。手形支払いの不安で夜も寝られないことが長年続きました。余りの寝汗で冬に夏布団で寝たこともあります。結核との闘い、資金繰りの苦しみと闘いながら、販売生産財務システムの構築に努力してきました。今の精神的な安定は夢のようです。心が安定すれば積極的な行動が起こせます。これから借入金の返済に努力します。内部留保は少なくても、借入金で支払手形ゼロにできることを知って欲しいと思い書きました。
2、競争力を欠く日本の賃金
ビジネス誌に次のような記事が出ていました。
「女性社員が『私はもう28歳です。会社の業績が悪くなれば、私なんか真っ先にリストラされます。私はこの会社でずっと働きたいので、今のうちから賃金を下げてください。』と言ったという。その話を聞いてとても感心した。時代の先を行っている。会社が『辞めさせよう』と思うのは、賃金が高過ぎる人である。どんどん値下げする人ならリストラする必要がない。多くの企業に勤める人は、自分の賃金はもらい過ぎだと思っていない。会社は赤字になっていても、自分はこれくらいもらって当然だと思っている。『大学を出て10年あるいは15年』、つまり『年功序列賃金』である。」というものです。
リミットの本社工場は裁断のみで、縫製部門は外注と少人数の出雲工場でした。本社工場はゼロでした。それでクイック生産で縫製要員を募集することになりました。私は昔の知識が残っており、絶対に来てくれる人は居ないと思っていました。パートの時給で募集をしましたところ、技術がある人が来たのです。しかも時給で8時間働かないと生活ができないと言いました。私は、将来失業者が増え、賃金は安くても人が採用できる時代が到来すると思っていましたが、こんなに早く来るとは思っていませんでした。ですが、中国の日給500円と時間給700円では競争力はありません。日本での縫製は商品を間に合わせるための生産です。働く人の考え方の変化を痛感しています。
3、イエスマンは去るべきマイナスの人
先日、当日出荷注文が4時頃入りました。受付は2時までなのでと当日出荷を断ることになっています。ところが、お客様は2時までにファクスを送った、と言われたことをそのまま間に受けて男性社員が発送してしまいました。本当に2時にFAXを送ったなら着かないことはありません。私はこの報告を聞いて大変怒り、社内情報の掲示板に次のように書きました。
「当日出荷の締め切りは2時になっています。配送センターへの納品書発行は注文処理をして3時までになっています。この3時は厳守して下さい。3時以降に届いた納品書は配送センターで翌日発送にして下さい。問題が起きれば、お客様サービスセンターの責任です。3時以降は配送センターではそれまでに送ってきた出荷を段取りよくし、運送会社の締め切り時間に間に合わせて下さい。受注担当は、3時以降は納品書が送れないことを考え、受注処理の時間配分を考えて下さい。社内でお互いに厳しさを持つ事が合理化になります。その結果として、何が問題か考えればよいと思います。最近男子社員のあいまいさが問題を起こしています。私が何故女性社員に重点を置いたか、女性社員は決められたことをしっかりと守ります。リミットが現金入金率90%になった理由はなにか、そしてダンピングの風潮に抵抗して価格維持がなぜできたのか、いくら怒られても女性社員は我慢して社長命令を守り続けたのです。ルールに問題があれば、全てのお客様に変えればよいのです。一部の得意先様だけに特例を作ってはいけません。女性社員が努力して作った信用を、男子社員が壊さないようにして下さい。つまらない営業のようにイエスマンにならないで下さい。ノウと断ることが信用です。」
私が言いたかったのはこんな行動をするなら、女性社員の給料以下にならなくてはなりません。自分の存在価値は何か考えなくてはなりません。そして会社にとってマイナスの人は、去って行くのみです。
2003年5月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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