2003年 4月号
1、コンピュータ導入の真意
いつも大変お世話になりありがとうございます。
3月の売上は微滅でした。夏物の見本の発送が例年より遅れています。4月も同じ状態が続いています。
先日「リミットはコンピュータで合理化して人員整理の問題がよく書いてある。私はリストラには疑念がある。」とお客様から言われたことが社内掲示板に書いてあるのを読みました。それでこの事は私も大変苦しんだことですので、「私の考え方をリミット通信で明らかにします」とのお約束をここで果たしたいと思います。
一般的にコンピュータを入れる目的は、事務の合理化と考えられています。25年前は会社の状況が決算をしなければわかりませんでした。税理士に決算を依頼しても問題点の後始末に追われる毎日でした。そんなとき情報処理の会社からコンピュータの売り込みがありました。当時のパソコンは故障も多く使える状態ではないので薦められたのはオフコンです。資金が無かった私は、安いパソコンを導入するしかありませんでした。残念ながら現在のパソコン全盛時代を予測したのではありません。20年前の縫製業には人材が来てくれませんでした。パソコンを私の協力者と考え、私の考え方をマニュアル化しました。社員が数字を打ち込むだけで、誰でも作業ができるシステムを目指しました。キーパンチャーは、根気のよい女子社員を主体に組織することにしました。多くの会社は男性主体ですが、私は「繊維は女性」と考え組織を作りました。
最初のシステムは手作業が多く、社員も大勢必要で、現在の人員の3倍はいました。1つ1つ仕事をマニュアル化し、それを自動処理に変えました。人間の仕事はコンピュータでできない判断業務だけにするよう努力しました。リミットの販売システムは、最初の受注商品とその納期のインプットから後の配送センターでの納品書発行までは自動処理です。生産管理も最初の販売予測数量を役員が判断してインプットした後は、正確に年間計画を処理すればよいので判断業務はありません。生産計画も原反発注、加工指図、貿易業務を自動化することをただいま研究中です。
財務は給料と財務のソフトを使い、誰でもできるようになっております。インターネットで月次決算を税理士に月初めの3営業日に送りチェックして、その日に送り返されます。専門的な財務処理知識は必要ありません。銀行融資の時に必要な資料はプリントする時間だけで全て出ます。貿易業務も3人が1人になり、これも自動処理ソフトを作成中です。現在のコンピュータシステムは、最悪の時に経営者と全般管理役員と企画役員と外部専門スタッフそして派遣社員がいれば最低限会社は維持できると思っています。これでも赤字の時は廃業です。現在の大不況を25年前に予測してコンピュータを利用しての合理化を考えたのではありませんが、結果として少数で大きな仕事が実現できました。経営者が作った情報システムです。社員ではできません。パソコンに進むように閃きを与えてくれた神仏に感謝しています。
2、リストラについて私の真意
私は松下幸之助の実践経営哲学を読みました。合理化の過程でリストラをしました。その罪悪感が付きまとい、大変苦しい思いをしました。このようなことをしていては自分の運命は悪い方向に行くのではないかと心が痛む思いで苦しみました。そして判断業務ができる優秀な人材の獲得に努力してきました。人材を採れば入れ換えをしなくてはなりません。この度の大不況で考え方が変わりました。
戦後50年、日本は経済的には発展してきました。しかし人間的な面で多くが失われてしまいました。中学生、高校生の多くが地面にへたり込み、携帯電話を使っています。電話料は親が払っています。今大失業者時代が来て、親もお金が無くなれば子供も考えるようになると思います。失業して貧乏になったら考え直すときが来ると思います。この度の大不況は大変喜ぶべきです。このようなことでもないと反省しません。現在のリストラは自分の給料を稼げない人がリストラになっているのです。給料を稼いでいる人は絶対にリストラになりません。今までは稼がない人でも景気がよかったので目立ちませんでした。
松下電器は松下幸之助の教えを守り、リストラが遅れて業績悪化したことが本に出ていました。日産は系列の甘えを断ち切って1年で立ち直りました。元社長は私には情が絡んでできませんでしたとおっしゃっています。この度の大不況は全ての業界の経営者が大変苦しみ悩んで、各社それぞれ取り組んで居られます。私はリストラされた人は勉強をせず横着をして、一生懸命に頑張っていた人に迷惑をかけていた人だと思うようになり、リストラの罪悪感が無くなりました。戦後のハングリー精神を持って頑張らないと中国に負けるときが来ます。中国青島に行くと、その発展の勢いと夜明けと共に働いている労働者を見ると身震いするほど今後の怖さを感じます。
3、商品見本の早期返却を願う意味
リミットは多品種少量生産をしています。見本期間は1ヶ月ですが、早く返していただければ、本当に必要とされているお客様に再生して送ることができます。そして喜んでいただくことができます。短納期を考え、一所懸命に作った商品を原則1ヶ月以内で返してもらうように、お客様サービスセンターには要請しています。連絡があれば延長しています。最大2ヶ月も貸しているということは、商品も傷んでしまいます。中国生地で作り、汚れがあっても問題が起きない大量商品なら構わないと思います。しかしリミットの商品をそのような商品と一緒にされたら困ります。特に夏物は短期間勝負です。6月中頃には商品も少なくなってきます。
リミットとは別分野の商品をリミット通販(株)がユーザーに販売しています。そして見本も送っています。見本の返品期間は早くて3日。最高で2週間です。見本を見たら買うか買わないか結論は出ています。販売店の皆様への見本期間がこんなにかかるのは、見本をユーザーに持って行き、持って帰る期間を考えても理解できません。リミットでは仕入れは提示価格で買います。全て現金支払いで金利値引きもせず、そして端数の切り捨てもしません。送金料もリミット負担で送っています。私は相手に厳しい要求をするには、要求以上の事を実行しなくてはならないと思っています。
2003年4月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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