2003年 2月号

 

 1、生きている限り新しい行動を

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 12月、1月、2月と売上は昨年比微増で安定した売上で推移しています。リミットは前回にも書きましたように、ピーク時より売上が半滅しても赤字にならない政策をうったので、今年度は利益が出る体制になりました。精神的に大変楽になり、そのお陰でこれから先の戦略戦術を練り、行動を起こしています。

 私は20年間情報システムの構築に努力してきましたが、他社との差を考えないで今日まできました。受注、生産、貿易、財務、企画そして中国工場と少ない人員で混乱もなく見事に管理し回転していると実感しております。コンピュータで自動化できる工程は自動化し、人は判断業務のみにした結果です。コンピュータシステムも大切ですが、これを使用する人材も大切です。より優秀な人材を求めた結果、社員は激しく入れ替わり創業時からの永年勤続社員はいません。

 コピー商品が多く出る業界で、会社の全分野に金を使いながらレベル向上に努力していることが間違いではないかと思うこともありました。しかし私はコピーする会社とされる会社では、最後に残るのはコピーをされる魅力ある商品を生み出す会社だと言い続けてきました。20年前に「これからの日本は頭脳分野で勝たなくては生き残ることができない」というある大学教授の話を信じて行動を起こし本当によかったと思っています。しかしまだまだ不満一杯です。生きている限り、これからも向上に努力します。

 

 2、価格競争を乗り越える

 

 最近、価格競争についての反省の声が聞かれるようになりました。とはいっても、現状の価格競争を止めることは大変です。価格競争を避けるには他社との差別化以外ありません。何をもって差別し、ブランドをつくるか。それはトップが考えなくては実現しません。新聞に「ユニクロ、マクドナルドなど低価格を武器に売り上げを伸ばした企業が、次々に失速するデフレ下の競争。そこには低価格商法が陥る共通のワナがある。価格を下げれば商品当たりの利幅は減るが、販売量が拡大することで全体の利益は増えるというのがこれまでの方程式。ところが安さへの驚きが薄れるにつれ、既存店の売り上げが減り始める。利益維持に不可欠な量を確保するため新規出店を拡大するものの、店舗当たりの効率が下がる、価格で栄える者は価格に沈む。安さだけに頼らず、商品やサービスの魅力を高めて消費者の関心を引き続けることが、デフレ時代の「盛者必衰」を逃れる道だ。」と出ていました。

 リミットは多品種少量生産を中国でする。受注日即出荷率90%、在庫は限りなく減少させる。企画は新商品を出し続ける。生産計画は廃番商品の廃棄数量のゼロを目指す。どれを取っても大変困難な道です。小さい企業が他社と差別化するには困難な道を歩み、それを実現する以外ありません。それを実現するために大事なことは、小さなことの解決を積み重ねることだと言っています。コンピュータシステムも20年間小さなことの積み重ねで自動化して来たのです。その結果、NECで最優秀賞を頂いたのです。できないことはないと言っています。今行動を起こさないと結果は出ません。間違いに気づけば修正すればよいのです。

 

 3、同族経営のメリット

 

 リミットは同族経営方式をとっています。会社の利益の約41%は税金となります。そこで家族が法人税対象以下になるようできるだけ給料を取ります。そして生活費以外は全部会社に貸し付けます。基本的には会社は利益を出さず、この度のような利益が出ない時は家族の給料で調整します。配当は税金の二重払いとなりますので絶対にしません。この度手形発行ゼロになったのは個人の貸付金によって行いました。

 同族経営方式では個人貸付金も資本金と考えます。私達家族は個人の貯金はゼロです。一般的には個人の貯金もあり、会社の貯金もあるのが普通だと思います。同族経営方式は貯金を一本化します。家族の突発的な必要資金は会社から返してもらいます。個人と会社は一体です。それを基本にして行動します。一体ですので絶対に会社を倒産させることはできません。それ故、厳しい行動が起こせるのです。厳しい行動が起こせない経営者は何か逃げ道があるのです。私には逃げ道はありません。後ろは谷底前からトラ、逃げ道はなし、前進のみ。その心境で切り抜け策を考えれば道は開けます。逃げ道がないことが現在の大不況時でも道を開いている大きな原因だと思います。

 

 4、外貨定期預金の妙

 

 リミットは国の財政破綻、ハイパーインフレ、高金利を考えて短期借り入れはしません。長期資金を政府系金融機関と銀行から借りています。返しながら又借り入れているので資金に困ることはありません。

 最近、国家破産で貯金が紙屑になり、国の財政赤字と棒引きになると盛んに言われるようになりました。私は長期資金に集中しているので借金も棒引きになることはありがたいことで期待していました。しかし、会社は個人から借り入れているのでこの金も同時に紙屑です。これがハイパーインフレになり紙屑になれば、会社はよいのですが個人の財産も紙屑になり、財産がなくなってしまいます。その前に会社から金を引き出せば会社の資金が困ります。これでは大問題です。問題意識を持って考え、早朝に良い方法を閃きました。

 それは会社の定期預金を解約し、個人に返済します。それを個人が『外貨定期預金』にし、会社の担保に提供します。この方法なら会社の資金に変動はありません。この場合問題点は、定期預金金額の70%しか担保に見てくれないことで30%が資金負担になります。ある銀行は難色を示しながらも検討をしています。もう1行はその日の夕方には了解しました。どちらも「このようなケースは初めてです」といっています。現在手続が進行中です。これで個人の資産が少しでも紙屑になることを防ぎました。

 外貨預金の問題点は米ドル、ユーロ、スイスフラン、豪ドル、ポンド等で何を預金にするかによって結果が大きく差が出ます。米国は破綻状況にあるのでドル預金ははずしました。中国送金は来年春まで120円で先物予約しました。中国はドルに対して変動ではなく固定です。円高円安関係なく、来年春までは工賃を120円計算でドル送金するということを総経理に連絡し確定しました。来年3月までは工賃の変化はありません。これからは勉強しただけの結果が出る時代です。大変面白い時代になりました。

 

 2003年2月25日

 

   笑顔着

     リミット株式会社

     代表取締役 有 木 伸 宏

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