2003年 1月号

 

 1、システムと思いやり

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 今年の正月は大変落ち着いて、希望のうちに迎えることができました。昨年のリミットは突撃ではなく、売上が半減しても利益を出す体制を目標にして後退いたしました。赤字を起こさないことが大切と考えたのです。後退は大変苦しい道です。血を流す決断もいたしました。自分の給料を稼げない社員から解雇しました。各部門では部下がいない部門長1人だけの組織になりました。人間とコンピュータとの役割分担に関して20年にわたる凝縮したノウハウで混乱は起きていません。むしろ以前より情報がよく流れます。

 先日、コンピューターに関して次のような事を経験しました。

 私は愛用する栄養補助食品をある通信販売会社から買っています。この会社は上場しています。注文はファックス専用用紙、決済はいつもクレジットカードです。ある日、代金督促の葉書が来ました。カード有効期限をたまたま明記しないで申し込んでいたので、振替用紙を商品に同封したとの返答でした。普段から振替用紙は同封されており、金額は横線をプリントしただけなのでそのまま捨てます。その時は金額欄を入れて送ったようです。他社の通信販売は記入もれがあれば必ず電話で問い合わせがあります。記入もれについて、電話で連絡をしてくれたら、と苦情を言いました。

 ところがこれだけではなく、また同じことが起きました。一昨日、注文した商品の内、1点だけ販売中止と納品書に書いてありました。カタログには、1月31日まで特別価格販売と掲載されています。問い合わせると、商品はあるのです。量が3倍の徳用品は03のコードですが、この商品に限っては30なのです。間違えやすい番号です。特別価格販売期間なのに、ちょっとしたことで販売中止が出るようなシステムでは将来は無い。全てコンピュータ任せではなく、機械にできないことは人で処理をしなくては、と言いました。この会社はいつも「研究所」を宣伝しています。この件を、その会社のホームページに意見を書こうと思ったのですが、お客の意見を聞くコーナーがないのです。お客に思いやりがないのです。

 多くの大手の会社の社長がコンピュータのことが解らず、このようなことをしているのです。リミットはお客様が喜ばれるよう注文請書、出荷案内、納期変更の連絡、注文日即日出荷の精度とお客様の立場になり考えています。今月の日経ビジネス「経営者と情報技術との距離の差は無限大」を読んで、これからの経営者は情報システムを理解しないと倒産の方向に進むことを痛切に感じました。

 

 2、全責任をトップがとると明言

 

 社内の年頭挨拶で、土曜日午前5時からの恒例となっている部門長会議を中止することを発表しました。「みんなで話し合って方針を決めるような安易な状況ではない。トップが命運をかけて決断し、部門長に指図を出す。それを部門長が確実に実行する。その全責任は経営者にある」と明言いたしました。私は問題意識を持って寝ると、夜中の3時頃大変素晴らしい案が閃くのです。直ぐにメモに書き、コンピュータを立ち上げて書き始めます。私はこの閃きの経営を長年してきました。

 かつて、銀行に不渡りを申し出て、落ちれば転落死の綱渡りの状態から立ち直ってきました。これも閃きによります。その経験があるから、どんな状況でも、明日朝必ず閃きによって道が開けると安心して寝るのです。閃いた時、素直に行動に起こさなくては結果が出ません。間違っていれば修正すればよいのです。迷えば行動が起こせません。

 リミットは売上が減少する中で、昨年7月に支払手形ゼロを実現しました。現状では考えられません。大事なことは最初に手形決済をゼロにすると決断して行動を起こすことです。最初はその月の支払いと今まで発行している手形支払いで二重の経費がかかります。それで銀行に資金の支援をとりつける。在庫を減らす計画を立てさせて実行する。販売店の皆様には有利な年率6%の金利値引きの条件で手形から現金決済にしていただく。それができない先は財務状況が悪いので販売中止する。在庫を落とすための減産を中国工場に詳しく説明して協力を頼む。

 問題を次々と解決したら手形ゼロになりました。資金に困る状態になるのが当然なのに在庫減少によって資金が余っているのです。何ごとも不可能と思えばこのような結果になっていません。リミットが行動を起こせるのは長年のどん底の苦しみから道を開いてきた経験があるからです。そのように考えると苦しみに対して感謝しなくてはなりません。この度の未曾有の大不況を乗り越えると、素晴らしい楽園が待っていると思えば希望が出ます。反対に苦しみから逃げた人は地獄が待ち受けています。お互いに苦しみから逃げず楽しみながら頑張って行きましょう。

 

 3、データの集中管理と責任の明確化

 

 昨年12月に副社長と専務が上海視察を兼ねて青島工場に行きました。上海で案内をしていただいた人の携帯電話には、案内中ひっきりなしにたくさんの用件が入ってきました。生産に関してのトラブルが多いようでした。リミットの中国工場ではそのような生産に関してのトラブルはほとんど起きません。それは研究所の縫製仕様データが正確で、生地や付属品発注から日中間の貿易まで、全てのセクションでそのデータが使用されているので、付属品の不足など全くありえません。多くの会社ではデータが不正確な事で混乱を起こしているのではないかと思います。リミットも混乱していた時代には、各部署で勝手なデータをかかえていたのです。いまでは研究所が一元的なコントロールをしてミスがあれば研究所がデータを直すのです。データは社内ランで共有化して混乱が起きなくなりました。これで責任の所在も明確になりました。見事に中国と日本の間を回転している姿はこの方針の正しさを物語っています。

 こうなると問題処理係は必要ありません。中国への駐在員も必要ありません。これは営業にも言えるのではないでしょうか。問題が起きなければフォローも必要ありません。リミットは買ってください、とお願いもしたこともないし、押し送りもしていません。即納率90パーセントなので、在庫をもっていただかなくても販売店に迷惑をかけることはないと思います。このデフレ下で何が一番有利か?それは在庫を持たない経営を実行することです。今後一段とお客様サービスに努力致しますので、何かご意見があれば是非お客様サービスセンターまでご連絡下さい。

 

 2003年1月25日

 

   笑顔着

     リミット株式会社

     代表取締役 有 木 伸 宏

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