2002年 11月号
1、組織改革で赤字を埋める
いつも大変お世話になりありがとうございます。
売上げは10月も昨年比横バイでした。9月10月と横バイが続いたので、売上げ減の底は見えたのではないかと思っています。7月には非常事態宣言のもと最後の整理をいたしました。10月時点での昨年同月比較は、販売利益累計の減少額以上に販売経費が圧縮できました。前半の赤字は後半で埋めたことになります。利益が出る体制になったのです。組織は受注1名、生産納期管理1名、貿易1名、財務1名、配送センター2名、生産2名、総合研究所6名で合計14名です。リミットは営業の代わりに研究所に6名います。営業は商品の売り込みに行きます。リミットの研究所はお客様から注文をいただけるような商品開発に努力しています。同じ人件費でもかける方向は同業の真反対のことをしています。
社員は一時30名を数えました。この10年間で人員を整理してきました。整理の度に仕事が大混乱するのではと思いましたが、いつも反対の結果を見ています。この度の組織変革では各分野に1人のみの配置で正真正銘の最低限です。ここから少なくすることはできません。受注部門と配送部門では繁忙時の人手不足を、他の社員が兼務してカバーします。この態勢で受注日即出荷が90パーセントになっており、納期に対しての苦情はありません。
月次決算は、9月までは月末より3営業日で出ていましたが、今は2営業日で私が受け取ります。少人数のため情報がよく流れ、大変よい雰囲気です。長年の目標、究極の少数精鋭管理体制ができたと思います。多くの方からリミットは非常識な会社だと言われながら突き進んできたのは、私の護り神がこの大不況の転換期に向かって新しい体制作りに努力させたからだと思います。人間の知恵では迷いが起きます。
2、システム構築で問われる経営者の資質
若い世代は「社長は景気のよいときに30人も社員を入れて金を使って何をしていたのか。無駄なことをせずに資金を残してくれればよかった」とよく言います。確かに一理あります。しかし何事も段階があるのです。
私のスタートは質の低い労働力相手の裁断工場です。人材の入れ換えの連続でレベルを上げる努力をしてきました。やがて大卒も来てくれるようになりましたが、選別ができる状態ではありませんでした。納期が遅れて得意先に頭を下げ続けて年月が経過しました。その間にコンピュータのレベルを向上させ、ソフトの構築と管理ノウハウを蓄積してきました。
生産から販売、財務まで全ての情報システムの基幹をつくりました。生産からスタートした私だからできたと思っています。しかしこの情報システムは、使う社員の能力が低ければ力を発揮することはできません。例えば受注が納期を決めてインプットした後は配送センターに納品書をプリントアウトするまで全てコンピュータが自動処理します。しかし決められた納期日に製品が配送センターに入っていなかったら、自動処理が反対に後始末で大変手間のかかることになります。
一般的には営業部門と生産部門が生起した問題を巡って、お互いに責任を回避し、だれも責任をとらずさらに矛盾が増幅されている組織の会社が多くあります。この解決には経営者がコンピュータ管理にも強くならなくてはなりません。雑誌『日経コンピュータ』にはシステム構築の失敗が掲載されないことはありません。原因は何か。それは経営者の無知なことです。情報システムの構築には社員任せの経営者は失格です。社員に任せると社員レベルの程度しかできません。これからの経営者は情報システムの最低限の知識は必要と思います。
リミットも情報システムが完成して次のインターネットビジネスの時代を迎えるとき、社員の世代交代が始まりました。情報システムを使いこなす優秀な人材が入り、「受注日即納率が90パーセント」の流れは混乱しなくなりました。最近のインターネットを利用したIP電話は料金が50パーセント減になりました。リミットは通信回線が61回線(携帯は別)あり、料金の値下げはお客様サービスの質を落とさず経費の節約になっています。情報システムはタイミングよく若い世代へ引継ができ、インターネットビジネス時代に向かって若い世代は新しい販売方法に挑戦しています。
3、為替予約の授業料
今日では90パーセントが中国生産で、貿易は全て直接取引です。生地を神戸から発送し製品を福山に送り返して配送センターへ入れます。これも計画通りに回転しています。必要な時、必要な製品の必要な量を中国から返ってこさせるには、緻密な生産計画そして中国のスタッフとの人間的な連携が必要です。これは言葉では簡単ですが実際は大変です。思えば、国内生産不足を中国生産にシフトするため、中国を駆け回りました。そこではきわめて多くの問題と遭遇し一つ一つ解決して中国での基礎を固めるのに精一杯でした。
4月頃、国家破産とか銀行の問題で預金封鎖、ペイオフ等の記事が多く出るようになりました。中国の工場に送る工賃が円安になればコストが高くなります。銀行に教えてもらいながら為替予約の勉強をしています。当時120円が125円になり動きが激しくなりました。新聞等には目先140円になると出ています。そこで私は10月20万ドル、来年2月20万ドルを買うことを専務に指図をだしました。結局買ったときが130円でした。その後円高になっています。10月の20万ドルは130円で引き取りました。為替は120円で10月は買わなかった方がよかったのです。リミットは今まで円で決済していましたので為替にあまり関心をもっていませんでした。中国はドルと人民元は固定で、日本円で120円が基準です。円決済でドルが100円の時は中国工場が20パーセント元の収入が増えます。反対に140円の時は約20パーセント元での受け取りが少なくなります。そうなると工賃の値上げの問題が発生します。その工賃値上げを防ぐためにドルを買うことにしたのです。結果から考えると現時点ではドルを買わず、円で送金していればよかったことになります。この度の勉強でドルが120円の基準で円高になれば、円で送金して円安になればドルの送金を中国工場が喜ぶことが解りました。そこで10月中頃8ヶ月先と12ヶ月先を120円で予約しました。これなら円安があってもリミットも中国も損はありません。しかし10月引取の為替予約は知識がないために授業料を払ったことになります。
2002年11月25日
笑顔着
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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