2002年 9月号
1、「経営者は必ず道を開く」という信念
いつも大変お世話になりありがとうございます。
秋冬物の最盛期に入りました。昨年の9月よりも一層の売上げダウンが確実視される中、本年9月の推移を大変注目しています。9月初旬の大変な暑さの影響か、スタートは残念ながら低調です。
先日新市地区で営業をしているある企業が他地区への移転計画の決断がつきかねておられるとのことでした。繊維関係の業者さんではありません。売上げ下落の打開策としての移転計画です。その会社の社長が誰に聞いても状況が「悪い」と返事が返るだけなので、具体的に何が悪いのかわからないと相談に来られたのです。私にも正確な状況はわかりません。しかし私は、自分の独自の考え方で売上げが半滅しても生き残れる体制に向かって行動を起こしている、と話しました。またこのようなときこそ、「経営者は必ず道を開く」の信念を持って行動を起こさなくてはならないと話しました。最後に私が読んでいる本の一部をコピーして渡しました。それは『人生の勝負に勝つ法則』の一節です。参考のためにその部分をお示ししておきます。
「時を味方につける」
人生は順風のときだけではありません。「最高のピークが来たかと思うと、そのあとで奈落の底に落ちる」というのは、よくあることです。そうした上がり下がりの周期はあるものだと思わなければいけません。人生においては、負け込む時何をやってもうまくいかない時期はあります。この時に、あまりもがき苦しむのも問題です。勝てる時に勝負をすると大勝するのですが、負ける時に勝負をかけたら大敗します。したがって、時を味方につけなければいけないのです。その意味で、「いまが勝負のときかどうか」ということを、よく見極める必要があります。自分にとって旗色が悪いときに、無理にがんばって玉砕してはいけないのです。その時には、兵をたたんで退却し、次の時を待たなければいけません。兵をたたんで退却するというのは、きわめて難しいことです。「時に利あらず」と思ったら、いったん兵をたたんで退却し、次の機会を待つことです。人生全体で勝利するためには非常に大事なことなのです。その時期には無理をせずに力を養うことが大切です。将来を期して力を蓄えることです。たいていの場合は、あがいてしまうのです。水泳でも、「おぼれかけたときに、あまりもがくと、水を飲んでしまうことが多い」とよく言われます。おぼれそうになったら、むしろ頭を水のなかへ沈めたほうがよいのです。頭を沈めて、じっとしていると浮いてきます。体は水より軽いので、ばたばたしなければ浮くのです。ところが、もがいて水を飲んでしまい、沈んでしまうことが多いのです。苦しいときにはもがくのではなく、水に身を任せて、まず浮いてみることが大事です。これが不動心の考え方です。この難局から抜け出るのに何年ぐらいかかるか。ある程度目星を付けて、その期間を耐えなければいけません。耐えている間は、今日一日、自分として出来るだけの事をしていくことです。一日一日を充実させ、力を蓄えて、時が来るのを待つということが大事だと思います。
2、社員に任せること、任せないこと
7月1日に非常事態宣言を行いました。この方針にそってリミット東京事務所は8月に機能は本社に統合して事務所を閉鎖する事に決定しました。売上げが半滅しても生き残れる体制作りの過程で出てきた結論です。社員は福山に転居することができず、退社の道を選びました。
私は東京進出に大きな夢を持っていました。その夢に投資してきました。前進か後退かと迷ったとき、『人生の勝負に勝つ法則』のような本から学び、今は後退と考え、東京事務所の閉鎖を決めたのです。平成3年をピークに売上げが落ちはじめ、底が見えないなか、営業マンによる情報収集と販促活動が必要ではないかと迷い悩みました。迷いの結果は失敗でした。販売店に対しての通信販売形式で訪問販売に負けない情報伝達そして情報収集・分析方法を追求していくことに徹することにしました。
また、繊維は女性の分野と考え女性を主力にしてきました。事業をそれぞれ分社化する事を原則に、男性は一人一人を社長にして来ました。分社化すると、経理が明確に把握されメリットが出ますが、会社の借入金に個人保証している社長ではないので、どうしても行動に甘さが出てなかなか軌道にのりません。大企業のサラリーマン社長と同じです。今の時代のように大変不況なときにはなおさら結果は出ません。
景気のよいときは分社して任せてもよいと思いますが、このような不況の時はオーナー経営者が強権的な陣頭指揮をしなくてはなりません。ワンマンでは悪いと言われた時代から、またワンマンでなくては生き残れない時代となりました。リミットグループはこの度の組織替えで全てのグループ会社を社長の直轄にしました。経営には、社員に任せてよい分野と絶対に任せてはいけない分野があることを強く感じています。
3、インターネットと組織の改編
販売店に徹底したサービスを提供するインターネットによる通信販売形式の時代が来たと思っています。今後はこの道で迷わず前進します。最近の情報通信システムの進歩は目を見張るものがあります。総合研究所とお客様サービスセンターで営業活動のほとんどがカバーできると思っています。
今日の安売り競争も、中国自身が中国素材で縫製して直接ユーザーに売ってきたら、日本の素材メーカー、アパレル、販売店は全部潰されてしまいます。この事を考えたら将来に向かって発展途上国にはできない分野を考えなくてはなりません。私はそのために現状を整理して絶対に生き残れる体制にしなくてはならないと思います。
リミットグループの日中情報システム(株)と中国とのシステムの打ち合わせでも、日本と中国の別々の場所にある2台のパソコンで同じ画面を見ながら音声でやり取りが出来ます。日本と中国でテレビ電話会議をしているのです。インターネット電話のお陰でリミットの通信費は1ヶ月約100万円かかっていたのが半分になっています。今までは中国に電話をすると通信料が1分140円でしたが、インターネット電話では50円になりました。アメリカは15円です。音声も安定しています。パソコンからの電話では中国は1分12円です。中国の携帯電話にかけると16円です。大変安いけれど音声と通信状態がまだ安定していません。将来は安定する時が来ると思います。この様になると完全に距離感がなくなり、緊密な連絡が取れるようになります。営業形態もリミットグループ、青島伸栄服装有限公司福山支店、日中情報システム(株)が連携して日中が合体してどんな時代が来ても対応できる強いグループに生まれ変わる体制ができました。そのために今は採算が合うまで組織を壊しながら後退して、それから新しい組織を作りながら突撃を開始します。
2002年9月25日
素敵に働く女性のためのワークウエア
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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