2002年 6月号

  生き残りをかけたリミットの行動の全容

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 昨年9月のリミット通信に「売上げが半減になることもありうる」と書きました。それに対する具体的行動についても書きました。今、一部でそれが現実になっていると思います。熾烈な値引競争も予想に違わず起こっています。こんな予想の的中は大変困ったことです。利益の確保は一体どのようになっているのでしょうか。このまま値引競争が続くと多くのメーカーが破綻してしまいます。

 私がなぜ、需要が半減すると考えたか?それはユニフォームを買う立場で考えたからです。新しいユニフォームを導入することで利益が出るなら買う努力をし、経費が増えて損をするなら買わない努力をし私ならユニフォームは買わないだろうと思います。だからユニフォームは全滅もありうると思いました。そのような状況では売上げが半減する程度で済めば喜ばなくてはいけないと考え、即行動を起こしたのです。

 リミットは現在落ち着いて冷静に、そして一つ一つ前進する部分、後退している面など各分野を分析して行動を起こしています。今後産業界は生き残りグループと脱落グループに分かれます。今どのように対処したらよいか解らない会社は脱落します。リミットは考え方を持って行動ができることに感謝しています。

 そこで現在の基本行動を披露して皆様へのメッセージといたします。

 

①リミットは平成元年より価格維持

 価格維持のお陰と猛烈な合理化で売上げが落ちても赤字にならずに経過しています。値引競争をしていれば倒産しています。

 

②生地、副資材、カタログ等仕入全ての手形支払廃止

 生地は染め上がり後3ヶ月でリミットは引き取っています。9、3月の決算期だけは染め上がり生地は全部引き取ります。リミットは商社経由の海外生産がゼロなので海外生産在庫も全て現金支払済み在庫となります。大変苦しい道を選んでいますが、これが製品在庫の過剰を防いでいます。

 

③在庫管理

 売上げ減少が続く中で、今年5月の時点で昨年夏の過剰在庫を落とす目標を達成しました。

 

④受注日出荷率

 海外生産95パーセント、品番・色・サイズ別で約10,000点を管理しながら、受注日出荷率が93パーセントを達成しています。この生産管理のノウハウは長年の研究努力の結果です。昔私がエクセルの表計算の行と列の不足と戦いながら作ったソフトを若い世代が改良して進化させ素晴らしいソフトに育てました。エクセルの最新バージョンでは行が15,000、列は250列あり問題ありません。しかし列が不足しますので夏物、冬物に分けて表を作り連結して年間生産予定を出しています。素材メーカーに年間予定そして半年、3ヶ月と修正して調整をしています。日本から中国へ、そして製品となり日本のリミットの配送センターへ、この流れが見事に制御されています。これによって受注日出荷率93パーセントが可能となっています。 また、昨年の夏物の売上げダウンによって生じた過剰在庫は生産担当役員の見込みどおり今年6月までに解消されました。現在、在庫金額を決めてそれを数値目標に生産枚数を算出します。表に計算式を入れる根気と生産現場の経験が必要で大変ですが、ソフトが完成すれば年間計画は思いのままにできます。但し販売予測の難しさはありますが、昔の手計算ではとうてい実現できません。

 

⑤中国青島伸栄工場生産の稼働状況

 昨年9月に売上げ半減の予測で生産を半分に落とす事を指図しました。そして1ラインを予備の流れにして技術の勉強をさせていました。この5月に生き残ることが先決と、もう一段の経費節約を総経理に要求した結果、3日働き4日休むことになりました。そして余剰人員の解雇を決定して社員に通達したと連絡がありました。中国工場が日本の状況に合わせて行動してくれるので、売上げが落ちる中で在庫調整もできるのです。

 

⑥工賃1年分を中国に前金で送金

 中国生産を半分にすれば総経理といくら信頼関係があっても、総経理の不安感が起きてくるのが当然と思います。そこで安心をさせるために1年分の工賃を前金で送りました。インターネットで調べると、中国の預金金利は日本の借入金利より上でしたので、銀行に貯金をするように指図しました。しかし中国銀行青島支店は法人の定期はできないと言いました。個人の定期預金はあっても、会社が定期預金をすることは一般的ではないようです。支店長が北京に問い合わせしたりして、1日がかりで事務手続きが済みました。最近、貿易の外貨管理局が半年経っても残金があるので3ヶ月以内にゼロになるように輸出せよと指図が出ました。困ったことになったと思っていたら、来年の3月まで延期を申請して認められたと連絡がありました。外貨管理局も工賃の前金は始めてのケースで対処に困ったようです。なぜ前金を送ったか、これは状況の悪いときに下請けから支持を得るための長年の経験の中でつかんだ経営哲学です。しかし大変危険性もあり、若い世代にはすすめません。

 

⑦中国青島服装有限公司に情報システム部門の併設

 中国では1つの会社に2つの業種があることは許されません。青島の情報システムを正式登記するために役所に相談したところ、普通は20万ドルからですが10万ドルの資本金で公司の設立を言われました。しかし社員20人でもコンピュータ20台で300万円です。日本でしたら目的追加で問題はありません。中国は全て投資資金が中国に入ってこなければ許可が出ません。情報システムソフトはインターネット等で簡単に日本に届きます。貿易等の手続きは必要ありません。しかしこれは違反です。総経理は資本金ゼロを目標に交渉すると言っています。中国は表と裏があることを前提にして交渉しています。

 

⑧手形での販売を中止

 販売店との取引は90パーセント現金決済です。郵便振替は15万以上、銀行送金は20万円以上は金利値引き3パーセントを、年率にすると7パーセントの値引きになります。この条件で手形支払に固執されるのは理解できません。厳しい状況ですので、手形支払のお客様は取引中止を検討するように指図しました。これからは現金取引の時代です。

 

 2002年6月25日

 

   素敵に働く女性のためのワークウエア

     リミット株式会社

     代表取締役 有 木 伸 宏

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