2002年 4月号

 

 1、「二つあるならば苦しい方の道を歩む」に自信

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 4月になっても状況は相変わらずです。倒産ではなく、問屋の廃業が次々と起きています。問屋無用論が言われて長年になりますが、ようやく最後の時が来ました。一方縫製下請けの大手も自己破産しています。リミットが企画、生産、販売、在庫に苦労しているとき、問屋や縫製下請けは大変好調に推移していました。以前に書いたと思いますが問屋の態度に腹をたて、70社との取引を止めて福山に出ました。縫製下請けにも仕事の選別で大変虐められていた時代を思い出すと隔世の感があります。

 4月20日、来年の大卒に対して企業説明会をいたしました。私は話の中で、「30年前に大学の教授の講演会で、『これからは子供は大学院まで行かせて勉強させなくては後進国が追い上げてくる。頭脳の分野に向かって行かなくては生き残れない』と聞き行動を起こして30年。その過程で努力しても結果が出ないことが長年続きましたが、今はインターネットで募集して今日のように優秀な人材に集まって頂けるようになったことを大変喜んでいます。」と話しました。楽な道は破滅の道、苦しみの道は結果が出る道、そして同じ道が2つあるならば苦しい方の道を歩む。この言葉を私は自信を持って若い世代に伝えることができます。

 

 2、全社の変化に明るい希望

 

 リミットでは減産そして組織の整理が3月で終わりました。これからは前進の行動を起こします。具体的には日中情報システム会社は今年で3年目に入りました。最初はどのような手順を踏めばよいか解らず右往左往いたしました。現在は簡単なソフトから受注が始まっています。私は総経理に日本の縫製業界は昔、家の事情で高校に行けない子供が縫製工場で働きながら夜間高校に通っていた。中国も学力がありながら大学に行けない子供がいると思うので、集めて教育をし、育てることを提案しました。総経理は情報学科を卒業した者を集めたらと言いました。私はそのような人を集めても、会社の形態が整っていないので来た人が不安になり、転職するので回り道でも勉強させて育てることを考えようと言いました。結果は20人入れて10人残っています。何も形がないところに来たのだから、不安を感じる人が辞めて行きました。これは当然なことです。私はこのような過程をいつも経験しているので、これが正常だと考えて悩んだりはしませんでした。最近総経理はコンピューターに関する知識が全然なかった者が、ソフト制作出来るまでに育ったことを不思議がっています。

 しかし不思議なことはありません。私は無から有を生み出す時は、具体策が無くてもそのプランを公に発表するのです。発表したことを自分の重石にするのです。一時期は右往左往して混乱を起こします。1年、2年と徐々に形ができてきます。殆どの人が具体案が見えなかったら行動を起こしません。これでは新しい分野を育てることはできません。昔は私1人で考え行動し、役員にスピードが遅いと叫び続けました。今は方針を出せば役員が即行動を起こしてくれます。研究所の移転も最初は5月で移転完了の予定が、3月で終わりました。スピードが遅いと叫ぶことがなくなりました。考える人、行動する人、今が一番バランスがよい時ではないかと思います。この厳しい状況の中で、変化していることを痛切に感じるので明るい希望を持っています。

 

 3、静観しつつIT時代の本格到来を予感 

 

 一昨年11月にNEC本社でインターネットビジネスソフト最優秀モデルとして認められたことは何度もふれてきました。その当時は、インターネットソフト開発にかける経費は無制限でした。しかし今日では開発のテンポを緩やかにしています。その理由はインターネットブームで多くの会社が構築を始めました。しかしあまり結果が出ていません。インターネットは電話やファックスと同じ単なる通信手段でしかないことが解ったのです。そして全体が進む方向を見失いました。具体的なことが見えないからしばらく静観することに決めたのです。

 しかし私はインターネット時代は必ず来るとは感じるのです。最近リミットのデータによると、インターネットでの注文は昨年比で3倍になっています。そして全体的にハード面の環境が整いつつあると思うのです。プリンター、スキャナーも以前は30万、40万としていましたが、デジタルカメラで撮った写真を5万円程度のプリンターできれいに印刷できます。インターネットで現像所に画像を送り、写真を受け取ることもできます。新しいスキャナー、プリンターを入れて使ってみると簡単な宣伝用のカタログは会社で編集して印刷ができるようになりました。5年前に購入した160万円のカラーコピー機は重さ350キロで廃棄するのに運搬だけで5万円もかかりました。今はスキャナーとプリンターで高性能なコピーが簡単にできます。手で運べる重量です。昔は100万円のパソコンも今は10万円です。

 最近の状況からインターネットで画像データを提供する時代が来ることを想定し、最近投資を再開して開発のスピードを速めています。リミットのカタログ代は年間売上げに対して5パーセントになっています。今は売り上げが落ちているのでそれ以上になると思います。大変な金額と紙資源の無駄を考えると、この問題解決に努力しなくてはならないと思っています。簡単に商品の画像データを提供する時代が近々に来ると確信しています。

 

 4、いよいよ手形残高ゼロへ

 

 5月5日で手形支払いの決済が終わってリミットはふり出した手形残高がゼロの会社になります。しかし借金の山は残ります。売り上げが落ちる中で手形ゼロが実現できることは常識では考えられません。私も理解ができません。何となく道が開けたのです。そのような感覚の中で一番大きな事は、金融機関から資金を出していただいたことです。普通の人は最初からできるはずがないと行動を起こしません。私は手形無しで会社を運営する自信はありませんでした。しかし行動を起こしました。その結果手形無しになりました。私の好きな言葉に「一つ、一つ、実行」というのがあります。この言葉を自分自身にいつも言い聞かせます。これからは借金を正常な金額にするように努力が始まります。生産計画も、これからは現金を支払った原反が中国で縫製して日本に帰り、販売して現金になるまでの期間を考え、流れが止まるようなことがあると資金ショートを起こしますので責任重大です。売上げが大幅に落ちている中、7月の夏物が終わる時までに正常在庫にする目標を持って真剣にシミュレーションをしています。このシミュレーションも長年蓄積したノウハウがあるからできるのです。

 

 2002年4月25日

 

  素敵に働く女性のためのワークウエア

    リミット株式会社

    代表取締役 有 木 伸 宏

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