2002年 2月号
1、「人事」を整理して次世代へ
いつも大変お世話になりありがとうございます。
2月も相変わらずの静けさ、あらゆる面で大型台風の襲来を感じさせます。
最近私は、ユニフォームを買う会社の社長の立場になって考えてみました。私でしたら、この状況での新しいユニフォームの購入はいたしません。社員に古いユニフォームを着てもらいます。ユニフォームが傷んだら、必要最低の枚数を買うでしょう。つまり、売上げが半滅するかもしれないということです。場合によっては、それ以上の落ち込みも考えられると思います。事実、売り上げは昨年の9月から落ちてきて、今年は一段と落ちそうです。即行動を起こしました。私は新しい方針を考え行動を起こすのは、大変速い方だと思っています。
過去の流れを断ち切ることは、皆さんも知っていることです。しかし行動を起こすとなると、なかなかその通りには起こせません。繊維関係の仕事は中国が全てを呑み込んでしまい、日本では強い頭脳分野を持っている者のみが生き残る。リミットは、この事を前提にして改革に乗り出しています。その中で実績が最下位の人から去っていただくことを私は要求しています。
しかし考えてみると、今まで去っていった社員のほとんどは、私が採用した人材です。私の時代は来てくれる人を採用していたので、分野別の人材採用はできていません。能力があっても仕事が向かない場合でも、今までは何とかしてきました。今後はそんな程度では生き残れません。社員も今までは教育研修は会社がしていました。けれどこれからは自分が金を出して、必要な資料を買って勉強しなくてはなりません。会社はその能力に対して報酬を出して使わせていただく。このような関係になると思います。会社も生死をかけた生き残り策に行動を起こすと同時に、社員も生活をかけての戦いをしなくてはなりません。努力せずして失業者になっても誰も同情してくれません。人事問題は確実に整理して若い世代に経営を譲らなくてはならないと思っています。
2、通販に学ぶブランド構築
私は通信販売をよく利用しています。「漢方は中国」ですが、中国の漢方と比べてみて、2点だけ日本の方が体調によいものがあります。それだけは価格が高くても東京から通信販売で買っています。栄養剤は横浜のファンケルの通信販売です。大変安いので商品が悪いのではないか、と思う時もありますが、安いので気楽に飲めます。
一番多く利用するのは、通信販売のソニーファミリークラブのカタログです。価格は高いけれど、世界から集めた衣類、靴、鞄や家庭用品など大変便利な商品を販売しています。先日四国八十八カ所のある住職が私の持ち物を見て、どこで買われましたかと聞かれました。ソニーファミリークラブですと言いますと、「私もそこで買っています。私は参拝者が年中来られるので買い物に行けません。そして田舎ですから欲しい商品がありません。それでソニーファミリークラブの通信販売でよく買っています。皆さんからどこで買ったかとよく聞かれます。」と言われ、話が弾みました。
昨年よりロイヤルステージという伊藤忠グループの会社からカタログを送ってきます。この会社は通信販売の会社を買い取った新しい会社です。買い取られる前のカタログは特徴のないものでした。今では高額商品だけを集めて通信販売しています。先月のカタログでは220万円の商品がもっとも高価でした。今月のカタログでは125万円の商品が掲載されています。ソニーファミリークラブと同じような商品に、価格の高い商品をプラスしています。
カタログの表紙に「時を越えて愛される一流品というステータス」と書いてありました。そして掛軸、置物を主体に販売しているインペリアルエンタープライズは、時々人間国宝の陶器を販売しています。今年は2人の人間国宝作品を限定数量で販売しました。値段は百貨店で買うより相当安いので、買いたいという気持ちが起きます。百貨店の外商が専門業者を連れてきていたのではその経費だけでも大変です。そのほか「夢みつけ隊」、「いいモノ百科」等が来ます。読みたい本はクロネコヤマトのブックサービスにインターネットで注文します。何冊でも300円で東京から届けてくれます。
先日福山の産業会館で書画類の展示販売があり、参考のために行ってみました。そのとき、次のような説明を受けました。「古美術とか物故作家の作品は販売していません。それはどんなに偽物ではないと説明しても、このような展示会では信用していただけません。そのような商品は百貨店の信用にはかないません。そこで現在活躍されている作家で、将来価値が出る人を選んで扱っています。そして買っていただいた作品には作者より直接お礼の手紙が直筆で来ます」というものでした。
それを聞いて、みんな信用をどのようにして獲得するか考えておられることに感心しました。通信販売各社も特徴を出すことに専念しています。特徴がない通信販売はお客は相手にしません。通信販売は発注すると玄関まで届くので大変助かります。人間国宝の作品が通信販売でも買える時代になりました。私は各社の特徴を生かして利用しています。お客様から会社の特徴を認めていただくことが、ブランドの構築になります。そのブランドがどんな販売形態でも一番大事なことだと思います。リミットも会社存続100年を目指して、ブランドの構築に努力しなくてはならないと思っています。
3、世界経済の中、予測不能の変化を楽しむ
備後地区の歴史を振り返って見ると、備後絣から作業服へと日本の繊維の中で変化をして50年が経ちました。そしていま滅亡の危機を迎えています。今までは日本の中で考えればよかったのですが、これからは、中国を含めて世界の中でどのように生き残るかを考えなくてはなりません。中国が素材から縫製まで世界の繊維を呑み込もうとしています。リミットもいろいろな可能性を求めて模索しています。具体的にはインターネットビジネスそして通信販売を基本にした販売会社を設立し、模索、研究をしています。そして青島伸栄服装公司 福山支店を通して、中国から直接売って出る可能性を検討しています。
以前にこの通信にも書きましたように、日本と中国で情報システムの勉強を始めて2年。今年、日中情報システム㈱を設立してソフトの受注を日本の半額で採算に乗せる目標で始めます。第1回目のソフトを5ヶ月かかって先月納めました。まだ採算にはのりませんが、今年中には採算に乗ると思っています。来年には半導体の製造過程で必要な機械の組み立て工場を中国に設立します。そのための研修が4月より日本で始まります。リミットと中国の工場の関係が大変よいので、それを利用して人材を日本に送り、軌道に乗せることがリミットの役割です。多くの会社が中国での失敗経験から、今後にもこのような話がリミットに来るのではないかと思っています。人の運命、会社の運命は計算では予測が付かない方向に急速に変化することが大変面白いと思っています。
2002年2月25日
素敵に働く女性のためのワークウエア
リミット株式会社
代表取締役 有 木 伸 宏
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