2002年 1月号

 

 1、値引きしなくてもよい商品で生き残る

 

 いつもお世話になりありがとうございます。今年初めてのリミット通信を送らせていただきます。

 昨年は売上が2桁台のダウンで大変でした。長年コンピューターと人がする仕事を分けて合理化をし、管理面のコストは最低になっています。今年一段と売上が落ちれば、さらに合理化を考えなくてはなりません。一方、研究所や新しい分野の開発投資には資金を使ってきました。この投資をゼロにすれば、これ以上売上が落ちても赤字にはなりません。

 リミットは企画開発に力を入れて価格維持をしてきました。そのお陰で売上が落ちても、維持する方法を見つけだすことができました。商社の情報では今年は在庫過剰で一段と価格競争が激しくなると聞きました。どこまで先行投資をすべきか、コスト配分が問題になると思います。

 今年は円安が進行して海外生産をしている繊維業界は販売不振とコスト高で苦しむ年ではないかと思います。そこでリミットは、商品製造面では在庫を最低限にして、安売りしなくても買っていただける商品を慎重に作り、大事に商品を育て売ってゆかなくてはならないと思います。安売りは多くの社会悪を含んでいます。100円ショップは使い捨てでゴミを作り、菓子の100円コーナーは肥満児を作り、酒屋の安売りはアルコール中毒患者の増加につながり、繊維製品の単品大量販売は環境問題を起こします。そして最後は安売り会社が共倒れをします。

 リミットだけが価格維持をして世間の流れに反抗しても世の流れをひっくり返すことはできません。でも、よりよい商品を創り食べてゆけるだけの利益を確保すれば、規模は小さくても必ず生き残れると思っています。過去のインフレでは、在庫の値上がりと消費者による値上げ前の購入が起こり、プラスの面がありました。しかしこれからの値上げは、ユーザーである会社の財政が厳しく一段と買い控えになり、売上は増えません。そこでリミットでは在庫は一段と押さえることを強く指図しています。

 一方、経営面では、中国の青島伸栄服装公司に昨年12月、先1年分の加工賃を日本円で送金し、元に変えて中国の銀行で定期預金にさせました。3ヶ月定期の金利は2.25パーセントです。借入金利以上の金利です。そして昨年9月に生産点数を半分に落とした補償として、加工賃を30円値上げしました。在庫増で資金に苦しむより楽です。在庫も9月より増えていません。今年の夏が終わる6月には大幅な在庫滅になります。昨年9月に5日間で生産を半滅させた結果です。一般的に在庫が多いと聞くのは、私の想像ですが、海外生産を早く止めることができなかった結果ではないかと思います。

 

 2、中国製品の直接的日本上陸を前にして

 

 社内での情報を共有するために電子掲示板が大変役立っています。 青島伸栄服装公司福山支店を設立したのは3年前でした。この支店の目的は、中国がユニフォームを日本に直接売って出る時代の到来に備えてのことでした。しかし、昨年までは条件が整いませんでしたので活動していませんでした。ところがここに来て状況が熟してきました。昨年の年末に三洋電機と青島にある電機メーカー、ハイアール社が提携してハイアールが製品を日本で販売し、三洋電機は強い分野の部品を提供する、と報道がありました。この提携によりハイアールは日本の家電メーカーの製品を3分の1の価格で売ります。

 私はこの会社をよく知っています。工場のある街路はハイアール通りと名付けてあります。社員は大学卒が3万人と聞いています。昨年12月始め青島に行った時、電機製品の展示会をしており大勢の人が行っていました。製品を見たとき、日本の家電メーカーは全部中国に潰されるのではないかと痛感しました。それが昨年の12月中頃、三洋電機とハイアールの提携が新聞に出て、各家電メーカーの社長の戸惑いの記事も出ていました。中国製品が直接日本に上陸してきたのです。家電業界も大変な時が来ました。繊維も生産は中国となり、工場は全部閉鎖の方向に進んでいます。日本に残るのは販売のみです。素材も中国工場で作っています。まだよい商品はできていませんが、よい商品ができた時は必ず中国は素材工場を中国の工場にしてしまいます。そのようになると素材そして縫製は全て中国生産になります。そして販売も底辺商品から中国が直接販売してきます。日本に残るのは中国に負けない企画力を持っている会社しか残らないと思います。リミットも底辺商品から青島伸栄服装公司福山支店に移行した流れを整備して活動する時が来たと思います。今の時代は感じた事がすぐに結果として出てきます。変化の激しさに負けない行動を起こさなくてはならないと思います。

 

 3、強い信頼を中国と

 

 リミットの強いところは中国と一身同体の行動を起こすことができることです。この度の加工賃1年分の先送りは危険だからと反対の声を多く聞きました。

 皆さんの中国取引はそんなに信用がない人と取り引きされていることが私は不思議です。私は自分で探して取り組み、相手が喜ぶことを一所懸命実現する努力をして、総経理も私が喜ぶように努力してくれました。彼の給料の相談をしても、将来に向かって大きな財産を作ってもらっているからと給料アップを求めません。総経理夫婦は日本で家庭医をもち、息子は情報会社、嫁は会計事務所設立のための勉強をしています。このような2人の関係で工賃を先送りして失敗に終わるようなことは考えられません。これからの時代は国際的に心から協力し助け合う心のネットワークが大切です。もし工場が赤字が起きることがあれば必ず相談があります。30円の工賃アップで何も言ってきませんので赤字は起きていないと思います。

 そして国内の厳しい状況を考えて、リミットは昨年より支払手形の廃止に取り組みました。後3ヶ月でゼロになります。手形がゼロになれば経済状況に何が起きても不渡り倒産はありません。この資金は内部留保の増加でなく、同族経営方式で貯めた個人貸付金と5年以上の長期借入金で切り替えました。そして最近言われている国家財政が破産になり、終戦当時のハイパーインフレが起き、貯金と借金が同等なる事態の再来に備えて長期資金の借り入れを増やしました。国が借金を紙屑にするならリミットも同じ考えで行動すると政府系金融機関より充分借り入れて手形廃止を考えました。お陰で手形期日に追われ眠れない夜を過ごした歴史が終わろうとしています。「借金の上に寝るたかいびき」今年は最高の年になると思います。 

 

  2002年1月25日

 

   素敵に働く女性のためのワークウエア

     リミット株式会社

     代表取締役 有 木 伸 宏

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