2001年 6月号

 

 1、不況下、5年前の努力に今答えがでる

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 5月初旬は大変好調な売り上げで、業績が前年を下回ることはない、と報告がありました。ところが20日以降急激に変化し、結局売り上げは落ちてしまいました。考えてみますと、会社の倒産や人員整理で失業者が増えているときにユニフォーム業界の売上げが増えることはありません。同業各社では今年の秋冬物の生産計画は大変厳しい認識のもとに減産体制にあるようです。私もこれからが本格的な生存競争になると思っています。小泉政権は本格的な構造改革に取り組むようです。金融機関の不良債権処理が進む中で倒産が増えて大変な状況になると思います。ユニフォームを買うことで売上増が見込めるなら購入するでしょうが、経費が増えて利益が落ちるのであれば、耐用期限の先送りなどで買わない努力をするのが普通です。

 リミットは今日のような厳しい時代を想定し、5年前より人員整理をし、工場を閉鎖して国内生産から中国での生産に移行しました。そして社員を優秀な人材に入れ替えました。その結果、サプライチェーンが完成し強力な管理体制を作ることができました。人員整理も早くからしていましたので、退社した社員は各人の能力に応じて他社に勤めています。こんな優秀な人材を何故辞めさせたかと理由を聞かれた元社員もいます。5年前だから人員整理ができましたけれど、今の再就職が厳しい状況では私のような非情な人間でも人員整理はできません。色々と批判をされながら早く行動したことの答えが今になって出たと思っています。

 

 2、最悪を想定した種まきの積み重ねを

 

 戦後50年を過ぎて備後地区でも、二代目以降の経営者が増え、その年齢も50才以上の方が多くなってきました。優秀な方も多くおられますが、多くの方がどん底の経験がありません。それが対策面で大きく反映します。私の行動は二代目から見ると異常な行動と思われるほど過激です。どん底を経験した者はそのときの苦しみを二度と味わいたくないと強く思うので、最悪の事態を考えて行動を起こします。当然、そこまで考えなくても、という意見が出てきます。往々にして二代目はこの意見に従います。その結果がどうすることもできない困難となって立ち現れます。幸か不幸か内部留保が充分あれば、悩むだけで行動は起こしていません。私は内部留保が少ないので即行動を起こしたのです。人生何がよいやら悪いやら解らなくなります。

 行き詰まったときに見捨てられる会社と助けられる会社との差は、種まきの積み重ねの歴史だと私は思います。どん底から立ち上がるには人の助けがなくては何もできません。自分の力でできるならどん底になりません。そして助言に耳を傾ける人と無視する人とによっても運命は変わります。無視するのがよいか、聞くのがよいかこれも解りません。しかし多くの成功者の共通点は運が良かったと言われると書いてありました。繊維業界も大転換期の時代です。考え方を変えれば絶好のチャンスです。考えて考えて考え続けて結論をだし、行動を起こさなくてはと思っています。

 

 3、最悪のシナリオにいかに対処するか?

 

 私は今どのように対処するか大変悩んでいる事があります。それは皆さんも新聞等で知っておられる、日本の財政破綻、郵便貯金の破綻、ハイパーインフレとか高金利円安等の理由やその結果がどうなるかがよく理解できずにいたことに原因があります。

 特殊法人の日本道路公団、本州四国連絡橋公団、新東京国際空港公団等、大幅な赤字で廃止の方向にあるようです。これらの特殊法人には郵便貯金や簡易保険から資金が出ていて、大幅な赤字で回収不能になっているようです。前の宮沢財務省が3月8日、日本の財政はやや破局に近い状況と言われ、これは政府が認めたことになります。今まで特殊法人は財務状況を発表せずにきました。それが9月より発表されるようです。今まで隠していたブラックボックスの中身を見たとき、「破滅に近い状況」の意味が分かるのではないかと思います。

 今まで安全と思っていた郵貯が破綻して郵便局が取り立て騒ぎとなり、国が破産して国債の償還ができないようになれば、私たちの事業はどのように影響が起きるのか。そしてどのように対処すればよいのでしょうか。今激しいデフレの時にインフレになることは想像もつきません。

 ちなみに私が悩んでいることは、浅井隆著『2003年日本国破産』の国が破産すると起こる重大現象に従って引用すると次のようになります。

��1)インフレ

 インフレはすぐにはやってこない。今回のデフレ圧力はあまりにも強力なので、2002~2004年はその綱引きとなる可能性が高い。しかし、その反動で2005年以降は急激なインフレに見舞われるかもしれない。最悪の場合、年率100パーセントを超えるインフレが起こる。

��2)円安

 将来1ドル=200円以上の円安も視野に入れておいた方がよい。円安はインフレを加速する。つまり、輸入に頼る日本は輸入インフレに陥ることとなる。

��3)金利上昇

 これは国債暴落に連動して起こる。その結果として次のようなことが起きる。

①個人住宅ローン破産の急増 ②中小企業の連鎖倒産 ③国の借金返済の利息も増えるため財政赤字は雪ダルマ的に増加し破滅的状況に ④国債暴落により、銀行や郵貯といった金融機関が50兆円の損を抱え、破綻する金融機関が続出

��4)大増税

 国が破産すれば、税率を引き上げて国民からむしり取るしかないわけで、消費税は20パーセント以上になる(最悪35パーセント)可能性すらある。

��5)徳政令

 通貨(つまり皆さんの大切な1万円札)と国債を紙クズ同然にして、国が借金を踏み倒すこと。昭和21年には実際にこの「徳政令」が行われた。

 また、インフレになるなら借金をして不動産を買えば利益が出るとの考えは高金利の後にインフレがくるので金利倒れになると書いてありました。資金があって超優良物件を買うことは、インフレにヘッジして有利になる以上のようなことが書いてありました。

 さて、皆さんもこういった状況を想像し、どう対処するかを考えられていると思います。お聞かせ下さい。

 

 2001年6月25日

   リミット株式会社

   代表取締役 有 木 伸 宏

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