2001年 3月号

 

 1、ITによる構造的変化が加速

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 この3月の通信と一緒に『NECマガジン』をお送りします。リミットの記事が掲載されたこの雑誌はNEC本社から毎月3万部発行されております。事務所の写真に出ている6名は受注、情報システム管理、生産計画そして貿易業務をしている社員です。貿易業務は商社を介さず直接貿易をしているので女子社員2名が業務に就いております。中国との連絡も2名が主にしています。書類はもちろん中国語ですが、マニュアル化をして中国語が分からなくても理解できるように工夫をしています。写真には出ていませんが、他に財務兼総務が2名おります。研究所の方は全員企画部門で、男子1名女子5名で運営しております。内2名は中国語科卒です。研究所の写真に出ている白髪の女性は、東京より毎月来ていただいて指導をして下さっている先生です。日本のパタンナーの中では草分け的な存在です。他に配送センターに2名、生産センターに3名おります。リミットは少数精鋭です。

 この度の雑誌掲載はNECコンピューターの一つの分野で最優秀を頂いたのでその取材でした。「社長は独学でコンピューターを勉強して・・・」と書いて頂きました。私のコンピューター人生20年の歴史の最終でこのような記事を掲載していただき、構築した知的資産を次の世代に託すことができたことを大変幸せに思っています。NECはリミットのシステムソフトを販売したらどうかと勧めてくれました。しかしこのソフトを利用するには、定価販売とか在庫が正確とか厳しい条件が前提となり、一般に使用するには無理となりました。

 今年初め、東レ・帝人・NECで「ファイバー・フロンティア社」を設立したと新聞に出ていました。この会社は素材の生産で提携します。そして先日、東レ、帝人、商社そしてファッションメーカー十四社と提携して、新会社の「コロモ・ドット・コム」を設立したと出ていました。素材メーカーから小売りまで情報ネットワークで結ぶシステムを作り、受発注ができるシステムを二、三年で構築すると報道されました。

 最近になりリミットの情報システムを無償提供して情報会社「ファイバーネット・ドット・コム」を設立する話も持ち上がっています。ファイバーネット・ドット・コムは日本語ドット・COM、ローマ字ドット・CO・JP、日本語ドット・JPを登録しています。この会社は繊維関係の川上から川下までネットで結び、新しい販売形態で、新しい時代に対応することが基本的な考え方です。その考え方に賛同した会社が出資をして設立します。リミットはその中に入ることを希望しています。主導権は川上が持ちます。この会社は例えばユニバーサルウェア・ドット・COM、介護ユニフォーム・ドット・COM、レディスウェア・ドット・COM等色々な種類のドットコムを持っており、それを利用してグループを作ります。各社はグループ内では情報を共有してお互いの利点を活かして補完しながら行動をするようになると思います。具体的なことはまだ解りませんが、新しい販売方法を研究しながら模索し、形作りをして行くと思います。繊維業界もITによる最近急激な構造的変化が起きています。

 

 2、再編をどうすすめるか

 

 素材メーカーの部長が再生繊維の新聞記事のなかで、ペットボトルの業界の後始末を何故ユニフォーム業界が関与するのか。ペットボトル業界自身が考えるべきだと出ていました。この事は昨年私も通信で書きました。繊維関係はまず繊維製品のリサイクル方法を考えなくてはなりません。そして以前にも書きましたように、リミットにとって大きな問題は、不良在庫の破棄の問題です。この問題の解決は販売店との情報の共有が絶対必要になります。前記で説明しました情報会社ファイバーネットドットコムは川上から川下まで連携しながら、あらゆる無駄をはぶくことが目的です。営業部員が無駄だと考えたリミットは営業マンがいなくても営業はできます。

 文房具のアスクルは販売店と提携していても、販売店が来ることはほとんどありません。文房具の業界とユニフォームの業界は商品の性格が違うので、アスクル方式そのままは導入することはできないと思います。しかし訪問販売のみの業界にあって非常識だと叱られながら通信販売に徹してきたリミットの販売方法の今日の成果は新しい業界の再編やあり方を示唆していると思います。販売店一社で独自改革をすることは困難かもしれませんが素材メーカーからアパレルメーカーそして販売店と連携して考えていけば、新しい販売方法が見つかると思います。

 文房具業界の最大手コクヨは長年の付き合いがある総代理店を切り捨てられず、これらを残した通信販売を始めました。白紙から構築した先発のアスクルと、昔からのしがらみを捨てることができない老舗のコクヨ。どちらが勝つか大変興味を持ってみています。今まで通りのやり方では生き残れないことだけは確かです。

 

 3、超インフレを予測して

 

 最近の円安により、ユニフォーム業界に値上げの動きがあります。宮沢財務大臣が3月8日参議院で「日本の財政はやや破局に近い」と発言しました。日本の財政が破綻すると円安で200円、250円となり、超インフレになり国債や紙幣が紙屑になります。

 現在の122円でもユニフォーム業界は困っているのに、200円になったらどのようになるのでしょうか?今何を準備していればよいのか大変心配の種が増えます。

 私は社員に、住宅金融公庫の借入金を銀行に切り替える、ということをさせませんでした。銀行は変動金利でインフレになれば高金利になってきます。現在が2パーセント台で推移していますが、これがハイパーインフレになり、高金利となったら大変です。住宅金融公庫は20年、30年の長期の固定です。超インフレになったら紙幣が紙屑となり簡単に全額を払うことができるようになると思います。このことは戦後の日本の発展の中で多く経験しました。親の借金がインフレで子供の給料で簡単に支払いができたのです。反対に親が子供のために貯金したお金が、何も買えない金額の紙屑になってしまったのです。貯金も借金も全て相殺にしたのです。

 その経験から、今はデフレで変動金利の方が安いけれど、住宅金融公庫の返済期間20年、30年の年月で見れば、必ず固定の方が有利になると言ってきました。2、3年後国が破産してハイパーインフレ(年率100パーセント以上)に向かって行ったとき、目先の金利の安さで銀行に変わった人は大変苦しむのではないでしょうか。そして私達事業をしているものも、好景気のインフレなら商品が高く売れて利益が出ますが、不景気のインフレは価格が上がり商品が売れず倒産が増えるのではないかと思います。大変な時代が来ます。その対策を勉強しなくてはと思っています。

 

 2001年3月25日

   リミット株式会社

   代表取締役 有 木 伸 宏

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