2000年 10月号

 

 1、脅威の即納率89パーセント

 

 いつも大変お世話になりありがとうございます。

 先月に続いて今月も業績は順調に推移し、売上は7~10パーセント増になると思います。お得意先様のご支援に対して心より感謝いたしております。

 冬物の最盛期だった九月の即納率を調べてみると、受注日即日出荷と五日以内の出荷の合計は89パーセントです。一ヶ月以内で99.9パーセントです。納期が一ヶ月を越えた商品枚数は総出荷枚数約53000点の内14枚でした。海外生産90パーセントの状況下、品番・色・サイズで8000種類でこのような驚異的な数字が出て私自身も大変ビックリいたしております。在庫は国内、海外を含めた製品在庫、原反在庫が売上に対して3ヶ月になっています。若い世代に任せてたった2年。私が直接指揮していた頃は海外生産は80パーセントでしたのでまだ楽でした。私の時代以上の結果が出たということは、緻密な計算が出きる人材が育った結果だと思います。

 

 2、理想に向かっての努力が結実

 

 備後地区では不況の嵐の中で下請けから順に廃業が続いています。そしてそれはメーカーにも及んでいます。

 廃業倒産会社がなぜ倒産したのかと不思議に思うことはありません。当然の帰結です。これまでにも何度か述べましたが、20年前、ある大学の先生がこれからの時代は大学卒では駄目で大学院を出ていないと負ける時代が来るよと言われたことがあります。それに共鳴した私は、私自身も会社も理想を高くもち、一歩一歩レベルを上げる努力をいたしました。しかし当座はその予想とは反対のようなことが多く起きました。かくて私はプライドだけ高い人物として嘲笑の的でした。利益も出ていないので反論はいたしませんでした。それでも理想の実現に向かって新市から福山に出て優秀な人材獲得を目指して日本生命ビルに入りました。新市にいれば家賃はいらないのにとこれも物笑いの種にされました。投資に対する利益は出ていませんでしたのでじっと耐えていました。販売戦略としての通信販売についても、在庫が増えて売掛金が入らないから必ず倒産する、早く止めた方がよいと真剣に忠告をしてくれる人もいました。それでも金融機関、仕入先に頭を下げ続け支援をお願いしました。販売先には納期遅れで叱られ続けました。「今の問題点は必ず解決します」とお詫びをし続けました。どんなに困難が一杯あっても一つ一つ解決して行けば、何年か先には必ずゼロになるときがきます。それを信じて納期の精度の向上に本当に努力しました。

 今、会社に行き、社員の働く姿を見たときに理想に向かって努力した結果が出たと思います。嘲笑を気にやんで行動を起こしていなければ結果は出ていません。

 最近、みんなが賛成したら中止反対なら実行というある社長の発言が雑誌に出ていました。正にその通りの時代だと思います。

 

 3、中高年の経験と知識がつくる生きたデータ

 

 10月18日、大手新聞社にニュースを配信している時事通信社東京本社より中小企業のIT(情報技術)について正月特集を編集するため取材を受けました。リミットが選ばれた理由は、NEC東京本社が紹介したからだそうです。NEC東京本社のホームページで紹介された事例の中でリミットが一番小さい会社だったので興味をもたれたのだと思います。申し込みを受けたとき、インターネットに関しては私より若い世代の方が詳しく話ができます。ITの仕組みではなく、リミットのITの考え方が重要であると判断して私が対応いたしました。その取材の内容を少し説明いたします。

 私は49才からコンピューターを始めました。私の時代は旧制中学で勉強はせず作業ばかりで、掛け算、割り算は足し算、引き算の先に計算するという単純なこともよく知らない程度の能力で始めました。それから十八年。インターネットを手がける2年前までは私が機種を選定しオーダーメイドでソフトを発注して合理化するように督促を18年間し続けました。表計算ソフトのエクセルを使い資料作りを始めました。しかしそのエクセルも最初は容量が小さく、大きなデーターでは使えませんでした。次のバージョンアップを待ち続けました。パソコンも最初は扇風機をかけて冷やしながら使っていました。印刷も一行打てばデータを読みに行くためしばらく停止してからまた次の一行を打ちます。請求書を作るのに徹夜をしていました。パソコンの機能の向上を待ち続け、新しい機種が出れば直ぐ買いました。5年前にエクセルの縦行が15000行、横列が250列にバージョンアップされました。現在では縦9000行、横は250十行ですがそれでも横列は不足していますので、夏物冬物に分けています。

 在庫の正確度、納期の正確度はオフコンの基本データとパソコンの表計算の連携で不透明な部門を全部解るようにして完成させました。業務の全てが解るオフコンに、この度インターネットで接続したのです。インターネットは便利の良い通信手段です。しかし基本データのオフコン情報のレベルが低くければ、インターネットで接続しても役に立ちません。

 最近の記事によれば、このことを理解していないで失敗した人が多くおられるのではないかと思います。そして中高年の人の中には人生経験豊かな方もおられます。最初から逃げないで鉛筆を持ち、解説書を一字一字読んで行けば、必ず一歩一歩と前進します。それがある時点で暗黒の夜から朝の霧そして徐々に明るくなっていくのです。段々と解るようになるはずです。初期にはパソコンの使い方も大変難しいことも多くありました。パソコンを動かすだけで何日も自宅に閉じこもり頑張りました。しかし今は電源を入れたら動きます。ソフトも大変使いやすくなっています。私の18年の苦労は3年で達成できると思います。それでも逃げる人はリストラになっても仕方がありません。私は中高年者に対して、経験を生かしてデータを作り、会社に必要な人材になるように声を大にして言いたいと思います。とこのような趣旨を話しました。

 私は、役立つデータをつくるためには中高年の知識が絶対に必要だと思います。リミットが全ての分野が解るようなシステムを構築できたのも、私が生産から財務全ての分野を経験しているからできたのだと思っています。全部門を知らない若い世代ではできていません。

 時事通信社の正月特集記事は日本全国のどこの新聞社に配信されるか解りません。もしお得意先様の地区の新聞に載っていたら見て下さい。

 

  2000年10月25日

    リミット株式会社

    代表取締役 有 木 伸 宏 

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