2000年 8月号
1、真の信頼関係の上に成り立つ中国生産
いつも大変お世話になりありがとうございます。
今年夏期休暇は、お盆を挟んで二班に分け七日から九日間休みました。充分休息を取り、本格的に冬物の商戦に入り頑張らなくてはと思っているところです。
六月末に受注残が大変多く残り、それを七月に追いかけ生産をしたので七月の売上は大幅増です。納期を待っても納品ができない会社と、待てば納品ができる会社とどちらがお客様に安心感と喜びを抱いていただけるか。その結果リミットも利益を頂く。その完全な実現に向かって徹底的に方法を追求しております。
中国生産が九十パーセントを占める生産状況の中、受注日即納率が九十パーセントの維持が可能なのは中国の工場の相互信頼に基づく全面協力と生産計画のソフトが大変向上した結果だと思います。中国では事務手続きの合理化だけではコストダウンはできません。時には合理化を妨げる場合があります。リミットの中国生産の成功は、私自身が七年間中国に通い続け信頼関係を築いたことだと思います。当時は青島まで直行便がなく北京、上海どちらを経由しても二日かかり大変でした。パートナーの家庭で食事に招かれるのに四年かかりました。現在ではパートナーの家庭では青島にできたジャスコで日本食を買ってきたり、日本人に合うように中国料理を作ってくれます。二人のこどもは日本で勉学して、今年は婚約者まで日本に来て勉強しています。そして総経理夫婦は日本で主治医を持ち、薬も日本から送っています。以前は、自分個人の会社をもちたいと言っていました。私は総経理が私とともに歩むことが幸せになると思うように高級保養地に家を買い、百パーセントの関税を払って日本車を買い、将来を考えて情報会社を総経理に持たせるため息子を情報会社にリミットから出向させて勉強してもらっています。今では自分の会社を持ちたいといった言葉は全然出なくなりました。私は総経理と家族の将来の夢をリミットとの歩みの中でみてもらえればと思っています。その結果としてリミットも私も得ることが多いのです。
社長は日本にいて社員任せ、商社任せで良い結果は絶対に出ません。これは中国だけではなくどの国でも同じです。付き合いを深め、本当に信頼しこちらが裏切らなければ裏切られることもありません。私も一時期は直接指図をし、中国側が喜んでくれると思ってしたことが逆の結果が出た場合が多くありました。その間違いに気付いて中国の人々に任せることに決めたのです。
先月総経理が来日したとき、ある問題を解決するために予算が欲しいと言ったので渡しました。私は五十万円でも百万円でもと言ったのですが、三十万円で済みました。これも信頼関係があればこそです。その後大きな問題が解決したと連絡がありました。今は私は年に一回忘年会の時に行きます。総経理は二ヶ月に一回日本に来ています。そして半年に一回は夫婦で来日します。中国に対しての心配は何もありません。また総経理のこどもは長男は情報関係、長女は企画、婚約者は情報と財務管理と方向を決め、全て若い世代で関係を深めています。
2、走りながら考える時代に
繊維業界はユニクロの価格破壊で大きな影響を受けています。その中で今後生き残るのは大変なことです。今後の方針を立てるときに情報が多すぎて混乱も起こしています。それで行動が起こせなくては脱落が始まります。今は走りながら考え、そして方針を修正する時代です。止まって考えていたら遅れてしまいます。
このようなときにどうすればよいか。私は物事を簡単に考えて一つ、一つ整理をする努力をしています。現金決済の時代が来ると考えれば、現金の動きの無駄が何処にあるか。第一番に着手したのが三年前に着手した、売掛金を現金で払えば三パーセント引きと運賃の元払いという方法です。お得意先に大変有利な条件で現在八十パーセントの現金回収になっています。そして四行の地方銀行との取引を一行に集中し、定期預金を解約して資金に回しました。貿易を考えて都市銀行一行そして政府系銀行と取り引きするようにしました。
そして次は商社です。リミットの企画は研究所をつくり、人材の養成に努力しました。その結果商社の企画提案は必要なくなりました。そこで素材メーカーに現金決済で直接取引を申し入れました。現時点では時期が早いと断られましたが諦めずいろんな方法を考えて直接に近い取引を開始しました。
3、ある日突然力関係が逆転
インターネットビジネスに対応した投資を今年半期で二千五百万しています。先日NEC東京本社の取材を受け、NECのホームページに事例として乗ることになりました。ホームページを見ると有名な大手の会社ばかりでビックリしました。新しいインターネット時代に対応してリミットから上流の素材メーカー、商社、銀行に関しては初期段階として態勢ができました。今後は下流の販売店、ユーザーをどのように整備するかが始まります。これは大変なことです。
アパレル業界の極端な未来を描いてみると、企画力のないアパレルに対して、素材メーカーが、海外工場と提携して独自製品を生産し販売するので今後生地を売りません、と言われたらアパレルは倒産します。しかし素材メーカーでは生産できない多品種少量生産ができるアパレルは逆に提携を申し込まれると思います。企画力がないために価格競争のみに頼っているアパレルはある日突然、素材メーカーから取引中止を言われてビックリ仰天するときが来ると思います。
大手の製造業はことごとく系列の部品工場を整理しています。かわりにインターネット上で調達しようとしています。系列会社の社長はこれまで見捨てられることは考えてもいなかったと思います。
従来は商社、アパレル、販売店と下流になるほど強い立場で取引をしていたことが、ある日突然大逆転が起きるのです。そのことを知って大特急で対策を考えなくては間に合いません。取引中止宣言のXデーが近づいていることを最近猛烈に感じています。それでリミット総合研究所が三年間、企画そして情報技術投資に金額を制限せず投資した結果が、NEC東京本社のホームページに事例として乗ることになったのだと思います。
リミットは次の時代の対策に全力投球をしております。
2000年8月25日
リミット株式会社
代表取締役有木伸宏
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