2000年 7月号
一、健康・環境、そして百年企業
いつも大変お世話になりありがとうございます。毎日暑い日が続いていますがお元気ですか。
この通信で今月の販売状況等をお知らせしていますが、そんな目先のことの対応のみで行動していたら大変なことになるのではないかと思うようになりました。設立して三十一年間の行動の結果だと思います。百年企業を目指すとすれば、子供や孫のためにつまり会社の将来のためにするもっと大切なことがあると思うのです。
青島伸栄服装有限公司は青島市より車で一時間の所にあります。昨年は水の問題で役所の仕事がストップしていると聞きました。昨年だけの問題かと思っていましたけれど、北京でも砂迫っていると聞きました。中国政府も危機感をもって正式に砂漠化だと認めて発表しました。中国は広大な土地があり、その土地で米を作れば最低限の生活はできる強い国だと私は最近まで思っていました。でも土地があっても木がないので枯れ葉が落ちず、土地がやせて水田がなくなっているとのことです。最低限の農産物はまかなえると思っていた国が、食料の輸入国になっているのです。
福山市にある芦田川は流域の下水道が整備中で現時点では日本ワースト3の中に入っています。福山市民はその水を飲んでいます。そこで多くの人が山渓の谷の水や新幹線のトンネル口に行って湧き出る清水を汲んでいます。水は無料です。しかしガソリン代と汲みに行く時間が必要です。それができない人はミネラルウォーターを買うか、問題が多い水道水を飲まなくてはなりません。
中国も水の悪化が懸念されています。青島伸栄服装有限公司の総経理は二十リットルの瓶で水を買っています。低所得者層はどうしているのでしょうか。この総経理の奥さんは喘息で悩まされています。ところが日本に来ると喘息が起きないのです。総経理の住宅は高級保養地の海岸です。それでも空気が悪いのです。私の主治医の診察を受けて日本で処方した薬を飲めば調子がよいというので毎月送っています。中国政府は法整備を強化しています。それを受けて青島伸栄服装有限公司の工場ではボイラーの燃料を今年九月より石炭から重油に変えます。
新市にあるリミット㈱研修所の飲み水は裏山から湧き出る地下水を利用しています。これを運んで福山でも使っています。会社にいるときはお茶やコーヒーは汚染のない水で飲んでいます。二百七十坪の庭では、地下水を守るために微生物により天然物質に分解される除草剤を使います。
ニュースによると三十七度という高温の地区もあるようです。五十年前の新市では冬には池に氷が張り付いて、子供は張り付いた氷の上で遊んでいました。そして田の側の水車小屋では一杯氷が付いていました。今では冬でも同じ池で氷を見ることはありません。それだけ温暖化が進み環境が悪化しています。
百年企業を目指すこととは環境と会社員の健康が基です。
二、ユニクロから学ぶ
ユニクロというカジュアルウエアの量販店が最近何かと話題になっています。私は価格競争は最後は倒産すると考えています。しかしユニクロは安売りではなく、正常値で売っていると思うようになりました。
そのことについて書いてみましょう。ユニクロは情報システム会社だという社長の言葉がマスコミに紹介されていました。社長が陣頭指揮をしてコンピューター管理を構築しています。そしてソフト開発はソフト会社に丸投げではなく、ユニクロの意図が明確に反映されます。
このことは大変大事なことです。そしてあらゆるデーターが分析でき、中国生産に至るまで完全に掌握していると書いてありました。また九十パーセントはユニクロの販売店舗で、販売情報が完全に分析できることです。企画、生産、販売のすべてのデーター分析をしながら即行動を起こしているのです。最近地方銀行の支店長より十年前に銀行からユニクロに出向した人がIBMで情報システムの勉強していたと聞きました。十年前には銀行から出向を受ける程度の規模だったコンピューターシステムに相当重点をおいて活動してきた会社だと解りました。それでユニクロは情報システム会社だと社長が言った意味が解りました。
だからユニクロはある日突然現れたのではなく、長年システムの基本から構築されて、自然の流れの中で大きくなり、最近急激に話題になるようになったのだと思います。
三、インターネット時代を生き残るブランド力
ところで七月二十五日、NEC東京本社がリミットの情報システムを取材します。私は以前より繊維業界ではナンバーワンと自負していましたけれどリミットの規模が小さいので目立たなかったと思います。それが広島県の情報産業協議会で優秀事例として発表され、NECも認めたのだと思います。
リミットとユニクロの共通点は、社長の陣頭指揮でコンピューターシステムを構築していることです。そして大きく違うことは、自社の販売店があるかないかです。ユニクロは販売店舗を持っているので、現時点のデーターを分析して即行動を起こしています。リミットには自社の販売店がありません。過去のデータ分析が基本です。しかしリミットも販売店舗を持っていないことを前提にして、インターネット時代に向かって素材メーカーそして販売店と協力して販売網を整備し、強いグループを作りたいと思っています。ここにきてインターネットビジネスがどの様な形で進むのか見えるようになったということです。
ホームページを開設すればビジネスに繋がるというほどイージーではありません。基本は今までのビジネスと同じで、電話やファックスがインターネットに変わっただけと思うのです。「楽天市場」のようなネット通販に入会しても、売上は増えません。企画力、生産体制、流通の整備が不充分な会社がインターネットビジネスに進出しても結果が出ないことが明白になってきました。お客様は本当に欲しい物は徹夜して並んでも買います。便利さだけを追求しているのではなく、欲しい商品を追求しているのです。そして買う最後の決断は、その店のブランド(信用)だと思います。知名度のない会社では買いません。その様に考えると、何も特徴がなく魅力もなく企画力もない唯価格競争だけの会社がインターネットビジネス時代に生き残ることはできないと思います。
二〇〇〇年七月二十五日
リミット株式会社
代表取締役有木伸宏
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