2000年 5月号
何時も大変お世話になり有り難うございます。
前回書きましたように、四月は夏物の受注が落ち込み売上が落ちました。それで五月、六月は夏物の注文で大変な混乱が起きるのではないかと心配していましたが、その通りになりました。五月は四月の落ち込みを埋めて売上増になる予定です。出荷も十時を過ぎることもあります。それで出荷案内が送信されていても運送会社で荷物が止まる場合もあります。荷物が着かないと苦情も起きています。リミットは配送センターの人員をユニフォームの閑散期に合わせておりますので、出荷に役員まで動員して応援をしています。年間四ヶ月の繁忙期に社員を合わせると大変な人件費になります。この事は大変頭の痛い問題です。そして前回書きましたように情報が速く入っていれば、四月から準備すれば楽なのですが、五月では大変です。生産計画担当者も経費が高くついても中国生産に航空便の利用をして商品を間に合わせると言っています。私もその様にするように言っています。
昨年五月に青島伸栄服装有限公司研究所より六名来日し、十一月に全員帰国いたしました。次回の来日は実績もあり簡単に許可が出ると思い、八名の許可申請を出入国管理局に出しました。ところが管理局から話し合いたいと連絡があり、管理局に行きました。主席と統括との話し合いで、中国本社から日本への社内転任の申請は大変珍しいケースです。厳密に日本の法律に照り合わせて見ると少し問題がありました。前回の許可は審査ミスですのでこの度は許可できませんとのことでした。それでは困ると粘ったのですが、将来法律は変わると思いますが現在の法律では許可条件が整っていません。整っていないことが解って許可すれば私たちが責任問題になり大変なことになりますので理解して欲しい、と言われるのみでした。そこで他の方法は無いのですかと聞いたとき、外務省に申請を出してみるようにと言われました。一月に北京の日本大使館に申請書を提出しました。申請は北京大使館では決定せず、書類は日本外務省に送られ外務省から資料追加提出の要求があり提出しました。しかしまた補足説明の追加提出を要求され、検討が続きました。拒否も許可も出ない状況が四ヶ月続きました。連休前にまた補足説明書の提出がきました。私はどのように書いてよいやら解らなくなりました。それで若い世代の考え方で書いて出し、それで駄目なら諦めると話しました。若い世代は電話での問い合わせは受け付けないと書いてあるのに、外務省へ何度も電話し、問題点を聞きました。そして簡単明瞭に説明文を連休中に作り、連休明けの八日月曜日に着くように速達で送りました。その結果、北京の日本大使館から十一日木曜日に許可が出ました。航空便の関係で一週間後の十九日八名が来日しました。電話の問い合わせは受け付けないと書いてあるのに、何度も電話する厚かましさと粘り勝ちだと思います。私は電話が大嫌いなので諦めたと思います。
中国独資工場設立の時も同じような事がありました。設立時の資本金は最低資本金の二十万ドルで申請しました。ミシン設備費が三十万ドルでしたので、中国役所の指導で二十八万ドルに修正し申請して、書類提出後一週間で認可されました。その後設備費として送金した三十二万ドルも資本金として送金していたので合計資本金は六十万ドルになっていました。私は三十二万ドルは貸付金と考えていました。その理由は資本金は配当を貰っても日本でも所得税を取られます。貸付金の返済は何も取られません。そこで中国資本金を三十二万ドル減資し、貸付金への変更を指図しました。そして日本銀行、大蔵省との交渉が始まりました。こちらから東京へ出て行かず、大蔵省、日本銀行に電話で交渉いたしました。結果は海外資本金を減資し、貸付金に振り替える書類が日本銀行より出ました。中国投資で資本金の減資は初めてだと言いながら、結果的には許可になりました。その書類を中国に送りました。中国側も日本の政府からの書類ですのでいろいろありましたが、三十二万ドルを減資して貸付金に変更ができました。昨年十一万ドルの返済そして年率三・五パーセントの利息を払ってきました。今年は日本語学校設立の資金で貸付金は返済してきません。若さそして世間知らず、無鉄砲が道を開くのです。これは若い世代の特徴かもしれません。私には出来ないことです。しかし経営哲学、考え方では負けていません。組織は若さだけでも駄目です。そして中高年だけでも動きません。全てのバランスが良いとき、会社は総合力で発展するのだと思います。
最近組織の総合力で強い体質を作ることは大事なことですが、この事を忘れて失敗したことを書いてみます。インターネットビジネスのソフト開発を始めて二年、不正進入を防ぎながら現時点の情報を提供するソフト開発の最終段階で私は説明を聞いて自宅から会社のコンピューターにインターネットで接続してみました。そして在庫情報で商品を指定して在庫検索を始めると、その画面で止まってしまいました。何か操作を間違えたかと思いながら待ちました。二分三十秒経過したとき、検索結果が出てきました。私は会社に電話して聞くと二分三十秒かかると言いました。得意先よりこれでは便利が悪いと言われている、と言いました。その上決算の関係でソフト代五百万円払っていたのです。リミットはインターネットビジネスで日本一を目指しているのに、何故こんな使い物にならないインターネットでの在庫情報を得意先に見させたか。一度悪いイメージを持たれるとその回復に大変な努力が必要になります。そしてこんな役にも立たないソフトに対してお金を支払ったリミットも、それを受け取るソフト会社も悪い、と言うとリミットの若い世代はインターネットに関しては任せると言ったではないかと反発します。私はこんな役立たずしかできないのなら全て中止する、と私は癇癪を起こしてしまいました。そして関係者全部集めて検討するように心底から腹をたてて命令しました。こんな恥ずかしい在庫情報を平気で得意先に見せていた感覚が理解できませんでした。それから三時間後、四十秒になりましたと報告がありました。原因を聞きますと今までは担当者一人でしていましたが、関係者が集まり検討した結果問題点が解りました。四十秒を瞬時にするのは最近発売された機種なら解決するとの結論になり、即決で新機種購入をきめました。担当者はこれ以上は出来ませんと言っていたことが、各分野の強い人を集めて検討したら三時間で解決策が出たのです。今の時代は個々の時代と言われています。その個の特徴をうまく組み合わせる事が出来る強力なリーダーがプロジェクトチームを作り、解決する事が大事だと痛切に感じました。
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