2001年 8月号
1、悪化する日本の生産環境 いつも大変お世話になりありがとうございます。 当社今期夏物の売上げは目標を下回ってしまいました。現状を分析してみると私はこの度の事態はある意味仕方ないことだと思います。 今月は終戦記念日の月です。56年経った今、日本の中小製造業は国際競争で「敗戦」を喫したのだと私は思います。日本では妙な中流意識がはびこり、海外の若い勤労者に比べて労働意識も希薄で勉強もしません。高校生でも携帯電話に平気で月の使用料2、3万円使うと聞きました。これは異常です。親が失業して56年前のように食事にも事欠かなければ、彼らも考え直さないのではないかと思います。最低賃金制を廃止し日本人が海外の労働者と同じ賃金で働くような覚悟がないと国内生産で生き残る道はないでしょう。 私は中国に長年通って、中国人の労働意欲そして金銭に対する厳しさを見てきました。この限りでは到底日本は対抗ができないことを実感しました。それで頭脳分野で勝つ以外ないと考え、人材の獲得に努力して総合研究所を作り、人材養成に努力してきたのです。中国を知れば知るほど繊維関係での生き残りは頭脳分野以外では困難と痛切に感じています。現状では、売上げを増やす努力より、今後生き残るためには何が必要か考えて行動を起こし、基礎から固める努力が大事です。そして一つ一つ整理して行動を起こしています。今こそリミット研究所のノウハウの蓄積が生かされるときです。 2、一体化する日中の生産、品質から輸送まで 最近の海外生産の状況は大きく変化しています。 まず品質です。中国では年々縫製レベルそして検品物流体制が向上しています。一般衣料はラベルまで付けて発送先別に分類し、コンテナで日本に着けば各店舗に直送しています。検品物流センターが次々と設立されています。一時は神戸港の近辺の検品修整工場が大繁盛と聞いていました。それが中国に移ったのです。 もちろん問題もあります。中国の場合、検品は政府機関(商品検査局)が行う業務とされ、検品業はサービス業に分類されて独資での参入は禁止されています。でき上がり製品の検品で見つかった不良品は修整に大変なコストがかかります。縫製中の修整は簡単にできます。仕上がり製品の検品は、縫製を知らない人の発想だと思います。 問題はもう...